碁版 西遊記 序章 1
(1)
薄暗い蔵のなかを少年は活発に動きまわっていた。
歩くたびに積もっていた埃が舞い上がる。蔵にはどこか息苦しくさせる空気が漂っていた。
「うーん、どれもこれもパッとしないなぁ」
「ねぇ、もう出ようよヒカル。気味わるいよ」
少女が心細そうに言うが、少年は気にせず物色していく。
あたりには少年が放り投げた物がところせましと散らばっている。
「なんか古いだけのものばっかりだなぁ。わっ、汚ねぇ! ボロボロじゃん、これ」
少年は一冊の本を用心深く手に取った。
そして何気なく、それをめくってみた――――
※Part9 817の題名一部借用。
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