赤○妄想 1


(1)
北斗杯の翌日。
ヒカルから話を聞いたアキラと社は、一緒にスヨンの待つ碁会所に向かった。
入り口を入ると一般の客は一人もおらず、その代わりスヨンだけではなく、
ヨンハとイルファンが待ち構えていた。
三人の目つきは鋭く、それぞれが自分の獲物を睨みつけている。

スヨンはヒカルを100年振りに会った宿敵を見るような敵意に満ちた目で
見詰めている。
ヨンハはアキラを上から下まで舐めるように視姦すると、不適な笑みを
浮かべて見据えている。
イルファンは恐怖と憧れと情欲とが入り混じった複雑な表情でアキラを
見詰めていた。目の下にはドス黒いクマが出来ている。

そんな三人の邪悪な雰囲気に真っ先に気付いたのは社だった。
さりげなくアキラの前に立つと、これ以上無理だと思われる程唇を突き出し、
顎を上げ気味にして三人を睨み付けた。

状況が全くわからないヒカルが
「やあ、スヨン。約束通り来たぜ!」
と言うと、それが合図だったかのように三人がそれぞれの獲物に飛び掛って
来た。
「イケー!うぉぉぉーーーー!ヤレーーーー!!!!!!!!!」
その瞬間、ヨンハの頬の辺りに黒いものが降ってきて床に落ちた。
アキラをガードしていた社が見たヨンハの顔は、いつもと違い睫毛の全く
無いのっぺりとした、印象の薄い顔だった。
睫毛を無くしたヨンハはエネルギーも無くしてしまったのか、急に床に
跪くと「どうしようどうしよう・・・どこだ?どこだ?」と言いながら
必死に何かを探し始めた。



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