光明 1


(1)
「よく来たねアキラ君。お父さんお母さんは元気かね?」
藍色の着物を着た年配の僧侶が寺院内の長い渡り廊下を歩きながら
後に続くアキラに話しかけた。
「はい。父は引退してからのほうが元気なくらいです。」
大晦日の午後、アキラは縁のある寺に来ていた。
毎年12月の末に古い護符を新しい物と交換するのは塔矢家の
恒例行事である。
いつもならアキラの母の明子が行くのだが用事が重なり代わりにアキラが出向いた。
母の明子は名門の旧家出身で古いしきたりを重んじる傾向があり、
それを身近に見てきたアキラは それらをごく自然に受けとめている。
「これが新しい護符だよ。」
「ありがとうございます。こちらの都合で大晦日の日にお邪魔してすみませんでした。」
「いやいや それはかまわない。それよりアキラ君、今日は他に予定があるのかね?」
「いえ特にないですが。」
「指導碁をお願いしたいのだが・・・どうかね?」
「ボクでよろしければかまいません。」
この僧侶が大の囲碁好きであるのをアキラは知っていたので
快く引き受けた。



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