戻り花火 1
(1)
パチパチと色とりどりの炎が夜の暗闇を輝かす。
「キレイだな」
「うん」
二人はもうずっと、ほとんど言葉を交わすこともなくただ互いの指先の延長に咲く
光の火花を眺めていた。
花はすぐに散ってしまう。
すると二つあった光が一つきりになって、そのぶん夜の闇がぐっと迫ってくる。
闇に対抗するように、次々と新しい炎の花を咲かせた。
火薬の匂いと白い蝋燭が溶ける甘い匂いとが混じり合ってむず痒く鼻腔をくすぐる。
「煙くねぇ?」
「少しね」
「・・・オマエ、冷静なのな」
ヒカルはちらりと自分の傍らにしゃがむアキラを見た。
アキラは穏やかな表情で手元の花火を見つめている。花火に照らされたアキラの顔も瞳も、
色とりどりの光と影で揺らめいて見える。
自分と話しているのに視線をこちらに向けようともせず、花火ばかり見ているアキラに
ほんの少し寂しくなった。
花火の光と熱に魅せられて忘れていた、肌寒い初秋の夜の闇が急に身近にまとわりついて
くるように感じる。
ヒカルはぶるっと身震いをした。わけもなく心細い気分が込みあげる。
縋るようにヒカルは端正なアキラの横顔に向かって声をかけた。
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