セイジのひみつ日記 1


(1)
彼を映画に連れていった。
彼はあまり気乗りしない様子だったが、たまには外に出たほうがいいと説き伏せると、意外にもあっさりと頷いた。
別に映画でなくても、プラネタリウムや水族館でも良かった。
しかし、時には猥雑な空気を孕む雑踏の中に紛れることも必要であると私は考える。


774 名前:セイジのひみつ日記 投稿日:02/06/21 21:16
特段観る映画を決めていなかったから、私は彼にタイトルを選ばせた。
彼はしばらく逡巡したあと、『海外のものよりは…』と日本の映画を選び、映画館近くの
バーガーショップでホットドッグとポテト、それから飲み物をテイクアウトし映画館へ入った。
実は私もそうなのだが、彼はハンバーガーを食べなれていない。
外で食べるものめずらしさもあるだろうが、袋に顔を近付け『美味しそうな匂いですね』と
笑う彼を見ると、胸のどこかが暖かくなるような気がした。
映画館の中は驚くほど閑散としていた。彼は人混みが苦手だからそれは幸運だと言って
いいのかもしれないが、他人事ながら経営状態を心配してしまうほどの人の入りだった。
ホール自体小ぢんまりとしていたが、私たち以外には2人連れが2組、あとはホームレスらしき
人が1人いただけだった。
それぞれがあちらこちらに座りそれぞれの世界に没頭しているようにも見え、私は彼らの
世界を損なわぬよう、彼を促し右前方のエリアに座った。
前の2列、後ろの4列には誰も座っておらず、この場所なら彼に不快な思いをさせずに済むだろうと
思ってのことだ。



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