平安幻想異聞録-異聞- 番外 1
(1)
がさがさと、竹やぶから男達が出てくる音がする。
わかっていても 疲れて弛緩した体はピクリとも動かない。
このまま目を開けないでいようと思った。見なければ、
これから自分に何がされるのかわかって怯えることもないだろう。
だが、反対にいきなり腰をつかまれ、熱い男の猛りで
刺し貫かれた恐怖は、目をあけていた時以上だった。
「あ…ひっ…」
見知らぬ男の肉鉾が、無遠慮にヒカルの奥深くまで侵入して、
最奥の壁をまで到達した後、内壁を擦るようにしてわずかに引く。
そして、また抉るように中まで入ってくる。
その振幅はだんだんと大きく大胆になり、男の抜き差しの動きに合わせて、
ヒカルは顎をそらして悲鳴とも喘ぎともつかない声ををあげた。
「ひんっ…やっ…あ、…あんっ」
「オレは、…男をやるのは初めて…なんだが、なかなか…いい味じゃねぇか」
息を荒くしながら言う男の声に、ヒカルは思わず薄く目を開いてしまった。
見なければよかったと思った。
自分の上にまたがって腰を振る男の目は濁って血走っていた。
人というよりは妖の物の目だとヒカルは思った。
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