恋 Part 4 1
(1)
確かな重みとともに冷たい肌が触れる。
その冷たさで僕は知るんだ。自分の体がこの上もなく火照っていることを。
はぁ…………
ヒカルが僕の上で、詰めていた息を吐く。
その拍子に、軽く仰け反り白い喉を曝すのを下から見上げるのも、もうこれで何度目だろう。
息を吐いた後で、ようやく僕に体重を預けてくれる。それと同時に顔を伏せる。
金色の前髪がパサリと音を立てる。
ふたりきりで過ごす夜は静寂に満ちている。
瞬きの音さえ聞こえてきそうで怖くなる。
僕たちは、肉と肉を重ねながら、なぜか息を潜めている。
密か事とは言うけれど、それよりも怪しい空気が混じるのはなぜだろう。
僕たちが男同士だから?
不道徳な行為だから?
まだ未成年だから?
親の留守をいいことに、快楽に耽っているから?
いいや、違う。
好きだという気持に嘘はないんだ。
だから男同士で繋がることを、僕は不道徳だとは思わない。
「好きだ」と告白した時点で、そんなことは既に問題ではなかった。
勿論、未成年であることにほんの少しの後ろめたさはある。
でもそれだって、僕もヒカルも経済的には自立しているし、奇矯な世界ではあるけれど、社会人であることに違いはない。
勿論、同性で愛し合うことが、まだ社会的制約を受けることは大問題だけれど、それといまこうしている最中に息を潜めている事実は、また根の違う問題なんだ。
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