魔境初?トーマスが報われている小説(タイトル無し) 1


(1)
ぽちゃん。
手のひらにすくい上げたお湯が手首を伝って、最後の1滴が指から零れた。
後に残ったのは、小さな波紋。 きれいな丸い弧を描きながら、浴槽の湯面に広がっていく。
……やっぱり、今日ってそういうことだよな。

ふう、と思わず溜息が洩れてしまう。
嫌なわけじゃないんだ、本当に。だいいち、俺だってそのつもりだったんだし。
だけど認めたくないけど、ここに来て怖気づいてる。この浴室から出たら、もう後戻りはできないんだってことに。
いや。
もし俺が本気で嫌がったら、和谷はなんにもしないんだろうけど。
だけど、さ。

キスなんて、数え切れないほどした。もっと凄いコトだってした。
お互いの身体の触りあいっこ。
服を着たまま他人の手が入ってくるっていう状況は、もしかしたら素っ裸より恥ずかしいんじゃないだろうか。
全身が心臓になったみたいにどきどきして、異様なほどに感覚が鋭くなって。
だから和谷の指が俺の乳首を探り当てて、短い爪でカリッと軽く引っかかれただけで、情けないほど反応してしまった。
『へぇ……進藤、こんなとこ感じちゃうんだ?』
耳元でくすくすと笑う息遣いにさえ、びくびくと痙攣に似た痺れが走った。
曰く、俺は「カンジヤスイ」身体らしい。そんなの、ちっとも嬉しくない。
俺はただ……そう、「敏感」なんだよ。

俺の身体をまさぐる手がだんだん下へ降りていって、ゆるく勃ちあがったモノを軽く握りこんだ。
指が、ぬるっと滑った感触があった。
なに? とぼんやりする頭で考えて、それが俺の「先走り」ってやつだってことに思い当たって
顔から火が出そうなほど恥ずかしくって。
わざと音を立てて扱きだしたところをみると、絶対気づいていたよな。俺が恥ずかしがってるの。

結局、俺は自分でも早すぎ! って思うほどあっけなくイッちゃって。
ぜいぜい荒い息をついてると、ジーンズからようやく出てきた指に絡まってる白い体液を嫌っていうほど見せつけられて。
『もしかして、溜まってた?』
なんて言われた瞬間には、本気で和谷を殴ってやろうと思った。そんな気力、残ってなかったけど。



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