社妄想(仮) 1
(1)
「……っ、何するんだ!!」
「何って……今更カマトトぶらんでもいいやろ」
ヒカルは眼前にいる男にのこのことついて来た事を後悔し始めていた。
北斗杯予選一回戦を終えた時、久し振りに後ろを向く癖が出て、その男と目があった。
ヒカルがきょとんとしていると、その男はにこやかに話し掛けて来た。
「進藤初段? オレ、社清春。次に当たるのオレなんやけど……」
「あ、ああ。そうなんだ。オレは進藤ヒカル。よろしくな」
ヒカルはいつもなら対局前に全く知らない相手と話す事等あまりなかったのだが、
社が人懐っこい笑みで話し掛けて来たので、微妙に心が弛んだのだった。
それが、こんな事になるなんて。
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