ウェルシュ・コーギー 1 - 2


(1)
今日は塔矢の家に遊びに行くことになっている。
この間棋院で「キミに見せたいものがあるんだ」って誘われたんだ。
何だろう?
天気もいいし、塔矢の家に遊びに行けるし、今日はとっても気分がいい。
実は誰にも内緒だけど、オレと塔矢はけっこう仲良いいんだ。
いや…けっこうなんてもんじゃないか…。
だいぶ、ものすごく。
どれくらいってーと、…ただの友達じゃ絶対しないようなこともしちゃう仲。
…だーっ!!
そのことは考えただけで顔から火が出そうなくらい恥ずかしいんだってば!
これ以上は内緒だ!内緒!

「塔矢ー!」
玄関のチャイムを鳴らしたらすぐに戸がガラリと開いた。
「進藤!よくきたね」
…コイツ…玄関先で待ち構えてたな…。
まあ、こーゆうところもコイツのイイところなんだけどな。
今日はまた例のごとく塔矢先生もお母さんも留守みたいだ。

「さ、ボクの部屋に行ってて。飲み物でも持ってくるよ」
オレは言われなくてもさっさと上がって、いつものように塔矢の部屋に入った。
何もない塔矢の部屋。
でも、この何もない部屋で、オレと塔矢は今までいろんなことをしてきた。
両親が留守がちなのをいいことに…あんなことやこんなことを…。
あ、ヤバ…思い出しただけで体が熱くなってきた。
ナシナシ、今日はそーゆうのはナシ!
塔矢が何かいいもの見せてくれるっていうから来ただけなんだからな。


(2)
「お待たせ、進藤」
オレンジジュースを持って塔矢が部屋に入ってきた。
「サンキュ」
喉が渇いてたから一気に飲み干した。
「ぷは〜〜〜っ!うめえ!」
塔矢の家で出してもらうものは何でもうまい。
オレンジジュースですらこれだ。
普通のと何か違うんだよ。すっげーうまいの。
やっぱ塔矢家のものは基本から何もかも上等な気がする。
さすが元名人の家だな。
飲んでると、塔矢がニコニコしながらこっちを見ている。
「何?」
「いや、キミって本当に美味しそうに飲食するから。見てるとこっちまで嬉しくなってくるよ」
オレ、そんなに嬉しそうな顔してたか…?
…もう…そんなに見られたらジュースの味もわかんなくなっちゃうじゃんかよ。
塔矢のバーカ。
ふくれた面をしてると、塔矢が「ごめんごめん」と言って笑いながら
もう一度部屋を出て行こうとする。
「どこいくの?」と聞くと、
「キミに見せたいモノを持ってくるよ。ちょっと待ってて」
とニコリと微笑んだ。
……。
塔矢があんまり綺麗に笑うもんだから、ちょっと見とれてしまった…なんてことは
塔矢には絶対内緒だ。気づかれたら酷い目に遭うからな。
こないだなんて、「進藤!可愛い!」とか言われてそのまま押し倒されちゃったんだ…。
あぶねー、あぶねー。
気づかれないようにオレはちょっと仏頂面して頷いた。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!