禁断・純愛の章 1 - 2
(1)
放課後、オレは久しぶりにあかりと歩いていた。
家が隣同志ということもあって、幼稚園・小学・中学と
一緒だったあかり。
でも、オレが佐為と出会い囲碁をやり始めプロになってからというもの
あかりとは何故かすれ違うことが多くなった。
オレは特に気にしていなかったが、あかりからしてみれば寂しくも
あったのだろう。
オレが囲碁をやるとなると、自分も全然興味のない囲碁を
習い始め囲碁部員になる辺り・・・。
そんなことを考えながら、自分より小さくなった彼女を見つめた。
自分より目線が低いあかり。前はオレが彼女を見上げてた。
あ、オレが大きくなったのか・・・。年月を感じさせる。
あかりは全学年男子の中で結構人気があった。
彼女にしたいベストランキングの上位にいたのではないだろうか。
身体つきも、すっかり女らしくなった?
そういえば中学に入って囲碁をやり始めてから、夏にあかりと
海へ行かなくなった。
あかりも邪魔してはいけないと思って誘いにもこなかった。
三谷達といったみたいだが。あかりの水着姿はどんなだったんだろ・・。
静かだった空間に、ふいとあかりが口を利いた。
「ヒカル・・・」
「な・なに?」夢想にふけっていたオレは、あかりの突然の言葉に
心臓が飛び出しそうなほどドキッとした。
「これからヒカルの部屋いっていい?あげたいものがあるの・・」
あかりの静かでかすかな笑顔がオレをドギマギさせた。
(2)
「いいぜ」
オレは、あかりの申し出に即OKした。
「なにくれるんだ、あかり」
「それは、部屋に入ってからのお楽しみ」
あかりは、ほほえむと俯き、顔を少し赤らめる。その態度に
ヒカルは少し怪訝に思うものの、あまり物事を深く考えようとしない質なので、
深く追求しようとはしなかった。
それよりもさっき、自分があかりの水着姿を想像して妄想に耽っていたのが、
本人にばれたのではないかとヒヤヒヤもんだったので、あかりの言葉に
ホッと胸をなで下ろした所だ 。
あげるものか・・・なんだろうな・・・。
ヒカルは、あかりのくれるプレゼントを想像して少し浮き足立った。
ま、手作りのおかしか、マフラー系の編み物だろうけど。
でももらえるものならどんなものでも嬉しいものだ。
こういったことに対して進藤ヒカルは遠慮しない。
塔矢アキラなら、やんわりと断りを入れる人からの贈り物でも
進藤ヒカルは平気で受け取る。
年上に受けがいいのは、そういった面も含まれていた。
なんだか、心がうきうきし出してちょっと興奮気味になったヒカルは、
「オレもお返しに指導碁してやるよ」といい
とびっきりの笑顔をあかりに向け少し小走りで家に向かった。
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