世にも奇妙な物語 1 - 2


(1)
玄関からヒカルを呼ぶ母親の声が聞こえる。幼馴染が訪ねてきたようだ。
ヒカルは階段から玄関を覗き込んで言った。
「なんだよ、あかり」
しかし、そこに立っていたのは見知らぬ少年だった。短い髪で、葉瀬中の制服
を着ている。
「囲碁部の連中はみんな他に用事があるって言うから、ヒカルに打って
 もらおうと思って。」
「お前…。誰?」
すると、ヒカルの母がしかめっ面をして言った。
「何つまんない冗談言ってるの?藤崎くんよ」
「え〜っ!」
ヒカルは驚愕した。無理もない。藤崎あかりといえば、幼馴染の少女だったはず
である。だが、今目の前にいる藤崎あかりは少年ではないか。前髪や顔立ちは
ヒカルが知っているあかりと瓜二つだ。だとすると、この少年はやはり藤崎あかり
なのだろうか?事情がよく飲み込めないまま、ヒカルはあかりを部屋に招き入れた。
「お前…ほんとにあかりか?」
「何言ってんだよ、今日のヒカルなんかヘンだな。」
「…」
「俺さ、ちょっとは強くなったんだよ。三谷に鍛えてもらってるんだ。他のみんなも
 熱心で…」
あかりの話は耳に入らなかった。とりあえず、碁を打つしかあるまい。ヒカルは
とりあえず、碁盤と碁石の用意をした。ひととおり打ち終わると、あかりが真剣な
顔をして言った。
「実は俺…、ヒカルの事昔から好きだったんだ。俺の愛を受け入れてくれヒカル。」
「えっ…ちょっと待っ…」
あかりと名乗る、あかりと同じ顔をした少年に、ヒカルは押し倒された。
「やめろよっ…てめー、誰だか知らねーけど…」
「だから、俺だってば、もう。大人しくしてて。痛くしないから。」
そう言うと、あかりはヒカルのシャツの中に右手を滑り込ませた。
胸の突起を探り当てると、そこを執拗に愛撫した。
「…や、め、ろ…」
「一度…こうしてみたかったんだ。」
あかりは、ヒカルのシャツをたくし上げて、胸の突起に舌を這わせた。
「あぁっ…」
「そんな甘い声出してさぁ…嫌じゃないんだろ?もうそろそろ、いいよね。」


(2)
意外と力が強いあかりに押さえ付けられ、抵抗むなしく下着を脱がされた。
あかりは片手でヒカルの両腕を押さえ付け、開いた方の手で自分のズボンの
ファスナーを下ろした。
(こいつ絶対あかりじゃねー…。でも顔一緒だし…)
ぼんやりとした頭で考えていると、突然の激痛に思考を遮られた。
あかりは、あるはずのないモノをヒカルの中に挿入していた。
「痛っ…!何すんだよ、やめろ…」
「温かいよ、ヒカルの中…」
ヒカルは涙目になってやめるように訴えたが、あかりには聞こえていないよう
だった。
「好きだよ…」
そう言って、あかりは自らの精をヒカルの中に解き放った。その瞬間、ヒカルは
限界に達し、目の前が真っ白になった。意識がだんだんと薄らいでいく…
「ヒカル!」
佐為の声で、ヒカルはハッと我に返った。そこには、少年の姿をしたあかりは
いなかった。1人自室に横たわったまま、意識を失っていたようだ。もちろん、
情事の形跡などどこにもない。全ては夢だったのか?
(なんだ、良かったー。あかりが男だなんて…、んなわけねーよな)
そう思ってヒカルが立ち上がろうとすると、あかりに貫かれた場所がずきりと
痛んだ。
「つっ…」
「どうしました?」
「なんでもねぇよ、佐為。」
(夢じゃなかった…???)
階下からヒカルを呼ぶ声が聞こえた。
「ヒカルー、あかりちゃんよー」
痛みと、恐怖を押し殺して立ち上がり、ヒカルはよろよろとした足取りで
階段の前へと急いだ。そして玄関を見下ろすと…そこに立っていたのは、
いつもの藤崎あかりだった。少年ではなく、間違いなく少女だった。
ヒカルは内心ホッとして、あかりを部屋に招き入れた。すると、あかりが
ニタッと笑って言った。
「さっきは…滅多に出来ない体験ができちゃった。神様にお願いしたからかな。」
ヒカルはゾッとして、あかりの方を見た。すると、背後から佐為が呟いた。
「神様って気まぐれですね。ふふっ。」
「ウソだ…ウソだ…うわああああ!」

タモリ「かくして、藤崎あかりの、男になってヒカルを犯したいという望みは
    かないました。その代わり、進藤ヒカルの心に癒えることのない傷を
    残して…。」



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