メイド・イン・ヒカル 1 - 2
(1)
恒例の囲碁ゼミナールで宿泊していた緒方の部屋に、夜突然扉をノックをする音がした。
「緒方先生、早く開けて」
その声はともに同じホテルに宿泊していたヒカルの声だった。
一人ビールを飲んでウトウトしていた緒方は、気分を害されて少々苛立ちながらドアを開
ける。
「なんだ、こんな時間に」
だがそこにヒカルはいなかった。というよりもヒカルなのだが、ヒカルに見えなかったの
だ。ピンクのミニのワンピースにフリルのついた白いエプロンをつけて人目を気にしてい
たヒカルは、ドアが開いたと同時に部屋に飛び込んだ。
「あぁ〜、助かった」
ヒカルは床に四つん這いになって座り込んだ。その格好はスカートからパンツが見えそう
で見えないギリギリのきわどい格好で、緒方はそこから目が離せなくなった。
ヒカルはため息をついて立ち上がると、緒方の前に立つ。
「緒方先生、ビール飲まない?」
能天気にヒカルはそう言うとベッドへ腰掛けた。
持っていた袋から缶ビールとポラロイドカメラを取り出す。
「実は罰ゲームで緒方先生のところにメイドの格好をしてお酌してこいって言われてさ」
ヒカルはやってられないとでもいうような顔をしてため息をついた。
「先生にお酌してる証拠写真を撮れば終わるんだ。だからちょっと付き合ってくんない?」
缶ビールを片手に立ち上がると、ヒカルはグラスを探した。そして見つけたグラスにビー
ルを注ぐと緒方に渡す。
「はい、緒方先生。写真撮るから飲んで」
ヒカルはそう言うとカメラを構えた。だが緒方はそれをテーブルへ置いてしまった。
「ちょっと先生、何してんだよ。早く飲んでってば」
ヒカルは緒方にグラスを再度渡す。だが緒方はそれを払った。グラスは床に落ちた。絨毯
のおかげで割れることはなかったが、ビールは全てこぼれてしまった。
「あ〜っ、何てことすんだよ」
ヒカルは緒方に詰め寄った。だが緒方の目は酔いのせいかトロンとしていた。
(2)
ふてくされたヒカルはグラスを拾おうとかがむ。その瞬間緒方に腰を抱かれ、ベッドへ投
げ出された。
「イッテェな。何すんだよ」
ヒカルは体を起こそうとした。だが緒方に足首をつかまれ、股を開かさられた。
「やっ、やめてよ先生」
ヒカルはスカートのすそを引っ張ったり足を閉じたりして、中が見えないようにした。
「…男か。やっぱり進藤なのか?」
緒方の問いにヒカルはかっとなった。
「当たり前だろ。緒方先生のバカ! それにこの格好のことはさっきちゃんと説明したじ
ゃんか」
ヒカルは怒りをぶちまけた。ただでさえ屈辱的な格好をさせられて苛立っているのに、そ
のような体位をさせられては怒るのも当然だった。
しかしその発言は緒方を逆なでした。
「オレにむかってバカだと? 前々から話し方がなっていないとは思っていたが、いい機
会だ。オレが教えてやろう」
そう言うと緒方はヒカルの下着を剥ぎ取った。
「やだ! やめろよ!」
ヒカルは泣き叫ぶ。だが緒方は止まらなかった。
「怖がることはない。オレの腕は確かだ」
緒方はそう言って笑うとヒカルの大切なところを握り、口に咥えた。
|