交際 1 - 2


(1)
 ヒカルは少し不満だった。北斗杯の予選の日に、ヒカルはアキラの本当の恋人になった。
今までがそうでなかったというわけではないが、あの夜、自分はアキラのものに、アキラは
自分のものになったと実感した。
 それなのに、アキラはあの日以来、ヒカルに触れようとしない。アキラの腕の中で、
ヒカルは頭も身体もフワフワとしていた。思い出す度、恥ずかしくて、幸せな気持ちになる。
アキラに触れて欲しい。もう一度、ヒカルを酔わせて欲しいと、強く思う。
 北斗杯の前に、アキラが社を家に泊めると告げたとき、ヒカルも行きたいと言った。
最初、アキラはいい顔をしなかった。ヒカルを泊めたくないようだった。
「だって、みんなで練習するんなら、一緒の方がいいじゃんか!」
ヒカルがどうしてもとねだると、アキラは溜息を吐きながら了承した。

 「ちぇ…」
ヒカルは手にもった荷物を振り回しながら、夜道を歩いた。後ろから、社がついてくる。
どうしてアキラは自分を拒絶するのだろう。
「オレのこと好きだってあんなに言ってたくせに…」
小さく呟いた。


(2)
 「なんかゆうたか?」
社が声をかけてきた。
「な…何でもねえよ。」
ヒカルは慌てた。そうだ。今、自分は一人ではないのだ。社をアキラの家迄、案内しなければ
ならないのに…。しっかりしなければ…。我に返って、辺りを見回す。見覚えの
ない場所のような気がする。実はアキラの家には一度しか行ったことがない。あの時は、
アキラについていけばいいだけだったが…。慌てて地図を確認する。
「…?あれ…?」
「どないしたんや?」
社が後ろから覗き込む。影がかかって、手元が暗くなった。ヒカルは社を振り仰いだ。
彼はヒカルよりずっと背が高い。小さなヒカルの身体は、社の影にすっぽりと隠れてしまう。
ポカンと見上げる。
「…?なんや?」
「社って、でっけーなぁ…」
羨ましい。自分もコレくらい大きくなりたい。
 社が少し奇妙な顔をした。その顔を徐々に自分に近づいてくる。
「―――――!?」
肩を掴まれ、キスをされた。抵抗する暇もなかった。
 すぐに社は離れたが、ヒカルは何が起きたのか理解できなかった。茫然としているヒカルの
唇に、社が再び触れてきた。



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