ウィロー 1 - 2


(1)
「ただいま」
オレが、部屋のドアを開けると、ヒカルタンが飛びついてきた。
「おかえり〜」
久しぶりに会うヒカルタンは、相変わらず小さくて可愛くていい匂いがした。
「遅いよ。オレ、ずっと待ってたんだぜ。」
ヒカルタンはちょっぴり頬をふくらませて、拗ねて見せた。
「ゴメンよ。」
オレも早く帰りたかったのだが、新幹線が遅れてしまったのだ。
いくらオレでも、名古屋から走って帰るわけにはいかない。
イライラする気持ちを抑えて、動かない新幹線の中で目を閉じた。
瞼の裏に、ヒカルタンの笑顔。
早く会いたいよ。ヒカルタン。
そして、漸く辿り着いた二人の愛の巣。
「ホラ、お土産あるよ。機嫌直して・・・」
オレは、鞄の中から取りだしたものをヒカルタンに手渡した。


(2)
「何?」
ヒカルタンが嬉しそうに、包装紙をビリビリと破いた。
オレは、どちらかといえば、神経質に綺麗に剥がすタイプだ。だが、ソレは小心さの表れだと
自覚している。
だから、ヒカルタンのこういう豪快なところは、気に入っている・・・と、言うかあこがれなのだ。

「ういろうだぁ!」
ヒカルタンがオレに笑いかけた。
白黒抹茶小豆コーヒー柚桜・・・どこかで聞いたような歌を口ずさむ。
「う〜・・・どれから食べようかな・・・迷うよ・・・」
腕を組んで眉間に皺を寄せて考え込んでいる。
可愛くて罪のない悩み。
そんなヒカルタンを前に、オレはとんでもないことを思いついてしまった。



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