碁石の日 1 - 3
(1)
その日もいつものように塔矢名人の囲碁サロンから塔矢邸へハシゴして、ヒカルとアキラは
碁を打った。
その後、二人が一緒に布団に入ったのもいつものことだった。
いつものようにアキラに深いキスを与えられるとヒカルはトロンと意識が遠くに飛んでいく。
キスが唇から耳、うなじと辿って、胸に移る頃には、ヒカルはアキラのなすままになってしまう。
足を大きく割られてペニスを扱かれ、後肛をほぐされても、恥ずかしさはどこかに飛んでしまう。
そして、その後の行為を待ち望んで腰を揺らしてしまうのだ。
だが、その日はいつもとは違った。
アキラの家には碁盤や碁石がたくさんある。
これまで自宅で研究会を開いてきたため、その数はちょっとした碁会所並といっていいほどだ。
由緒のある物や後援会から贈られた高級品から普及品までいろいろなものがある。
中にはもはや使われないまま仕舞われているものもある。
アキラはその内の一つを自室の机の引き出しに忍ばせておいたのだ。
アキラはヒカルを頂上まで導かず、途中から肛門に指とは違う何かを入れているのだ。
何か冷たい異物が中に入っている。
「1つ、2つ…」
ヒカルは意識が急に引き戻された。
「ナニ、すんだよ、このバカっ! ナニ入れてんだっ。」
「碁石、いくつ入るか試してるんだ。3つ。4つ。5つ。ねぇ、いくつ入ると思う?」
――ナニ考えてるんだ、コイツ!
いままで見たことのないアキラがいた。
「知るかよ。ヤメロ!ヤメロったら…」
「言った数だけ入れてあげるよ。それより多くボクが入れられたら、フェラをしてもらう。
それより少なかったら、キミをイかしてあげる。まだ、イッてないだろう。
さぁ、いくつだい。」
(2)
――コイツっ、もしかして変態…!?
ヒカルの中に恐ろしい疑問が湧いてきた。
「…………」
「返事がないなら、入れるぞ。6つ。7つ。8つ……。全部入れてもいいのかい。」
アキラの手は碁石を摘んでは、迷いなく肛門に入れていく。
「バカっ…!……あっ……」
アキラを罵ろうとしたその時、碁石はヒカルの敏感な箇所に触れた。
冷たく、わずかに重さを持った物がヒカルの中に確かにいる。
「なんだよ…、コレ。あぁっ…、あっ…、はぁっ…はぁっ……。」
「イイのかい。ココ、感じるんだ。」
アキラはわざとその場所に触れるようにして碁石を詰めていく。
「9つ。10。どんどん入っていくね。全部入ったらどんなになるのかな。フフッ…」
アキラの顔がだんだん悪魔に見えてきた。
だが、同時に碁石のもたらす冷たく甘い痺れに意識がひかれていく。
自分の反応にどうしたらいいか、とまどってしまう。
いずれにせよアキラがこの悪だくみを止めるとは思えない。
悔しいけれどヒカルは答えざるを得なかった。
「に、20コ…」
「フフ。そんなに少なくてイイの?まだまだ入るよ…」
アキラは碁石を追加していく。
「…30……、あ…、はぁっ……」
ヒカルは苦しい息の下からしぶしぶ答えた。
「30か。いいのかい、それで。負けたらフェラだよ。」
アキラの声が笑うように念を押した。
「さんじゅう……ご…」
ヒカルはいつもアキラに抱かれ、フェラをされていたが、自分がアキラにしたことはない。
時々思い出してヒカルは、男のを咥えるなんてどんな気持ちなんだろうと不思議な
気持ちになった。そして、いくらアキラを好きでも自分ではできないと思っていた。
それだけに、アキラが持ちかけた賭けにもし負けたら…と思うと、思わず数を増やしていた。
――それだってイヤだ、そんなに入れられるなんて…。でも、もし負けたら…。
でも、それ以上入れられたら、自分の体がどうかなってしまう。
「ようし、35だね。」
アキラはうれしそうに確かめると、また一つひとつ碁石を詰めはじめた。
(3)
下腹が重い。熱く燃える体中で、そこだけがヒンヤリとしているのがわかる。
時折、碁石がある部分に触れる時に背中を痺れが疾っていく。
その度にヒカルの腰はガクガクと小刻みに震えた。
強烈だけれどすぐに止んでしまう刺激。
もっと欲しい。止めないで欲しい。
いつものようにもっと強く中を掻きまわして、イきつくところまでイかせて欲しい。
ヒカルはもどかしい思いに焦らされながら、次第に意識が朦朧としてきた。
ペニスは透明な雫にまみれ、決定的な刺激を待ち望んでいる。
「…27。28。29。」
アキラの声がどこか遠くから聞こえてくる。
アキラが数をかぞえる度にヒカルは切なげにうめいた。
腹側の1ヶ所を押さえるようにしてから、碁石を置いていくのだ。
アキラが30を告げた時、ヒカルの目尻から涙がこぼれた。
「塔矢…、お願い…」
悪ふざけ止めて、早くイかせて欲しいことを伝えた。
だが、その願いは叶えられない。
「ダメだよ。ボクが36コ入れるまではね。さぁ、これで、30。」
「あうっ…、あぁん……、はぁ…、はぁ…、はぁっ…」
30コ目の衝撃はそれまでの2倍、イヤ、5倍はあった。
ヒカルは苦しくて、体を捩った。体の中でジャラリと音がした気がした。
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