Love Slave 1 - 4
(1)
「塔矢…」
掠れた声で囁きかける、進藤の声。
「…っ」
耳朶を甘くかまれて、ボクは小さく声を漏らした。
――耳の後ろ、首筋を伝って、進藤の唇が降りていく。
服を脱がされて、進藤も脱いで、ベッドの上に押し倒された。
いやだ、とか。やめろ、とか。
そんな抵抗の言葉も空しく、結局は進藤に逆らえない自分がいた。
「…っあ」
胸の突起を舌で転がされて、ゾクリとした快感が腰の辺りにくる。
早くもっと下の方に触れて欲しくて、ボクは身をよじる。
慣らされてしまった身体。
こんな自分を嫌悪して、変わっていく自分が怖くて、進藤を突き放したはずなのに、
また受け入れてしまっている。
――さわらないでくれ。もうやめてくれ。
何度も何度もボクは心の中で訴え続ける。
けれど心とは裏腹に身体は微熱を帯び、キミを待ち望んでいる。
「…や…あっ…」
唾液をのせた舌でいたぶりながら、手ではボクの中心をいじり始める。
最初は撫でるように触れたそれが、しだいに強く的確に扱き上げていくのに
ボクは感じずにはいられない。
吐息とともに、変に甲高い声が出て、羞恥に頬が熱くなる。
(2)
「…塔矢、もっと声出せよ。そしたら、もっと気持ちよくさせてやるからさ」
「ふざけるな、誰がっ…!」
カリッ。胸の果実に歯を立てられて「くっ」ボクはその鋭い痛みに唇をかんだ。
けれど、すぐに進藤の舌がその傷口を舐めあげる。
痛みに浮かされた熱に与えられる感触と下半身への刺激がどんどんボクを追い上げていく。
「…ッ!!」
吐き出された白い液体。進藤の手を濡らした。
荒く息をつくボクに進藤はニッと笑って口づけてきた。
舌を絡める深いキスをしながら、進藤の指がボクの最奥の入り口に触れた。
ズル…。指に付着していた精液を狡猾油がわりに中へと差し入れていく。
「…っ…ん…ふ…」
さっきは声を出せとか言っていたくせに、今は唇をふさがれて何も言えないのを
わざと楽しむように、指を中でうごめかせ、ボクの性感帯を探っている。
進藤の長い指が感じる部分に触れるたびに、ボクの腰がビクンとはねる。
…指よりも…早く…進藤のが欲しい…。
もっと硬くて太いあの感じを味わいたいと、ボクの入り口がひくついている。
「…淫乱…」
進藤が喉の奥で笑った。
(3)
悔しくて――けれど、その言葉は事実なのだと認めざるをえなかった。
そう、ボクはどうしようもなく淫乱なんだ。
キミに抱かれたくて、もっと深く繋がりたいと、本当はいつも思っている。
あの日、あの碁会所で出会った時から、ボクの心を捕らえて離さないキミの存在。
少しずつ変わっていく、ボクもキミも。いつまでも子供のままではいられない。
進藤の中で増していく嗜虐性、それを受け入れてしまう自分。
「…ッ」
指が抜かれた。そして。
「――」
熱く猛った進藤の砲身がボクの秘処にあてがわれた。
ずぷり、音を立てて、狭い中を分け入ってくる。
「う…ぁ…っ」
進藤が腰を進めてくる。苦しくて涙がこぼれた。ボクの前身も先走りの滴を垂らしていた。
「塔矢…」
進藤の声が不思議と耳に心地いい。
酷いことをされているのに、ボクの身体は喜んでいる。
もっとキミが欲しいと、貪欲に願っている。
(4)
「…動くぜ」
腰の律動が始まる。
揺さぶられて、ボクの髪がばさばさと顔にかかって……。
「――」
痛みとそれをしのぐ強烈な快感に眩暈がする。意識がどこかに飛んでしまいそうになる。
浅く深くボクの中を出入りする度にボクは嬌声をあげる。
濡れた肉のぶつかり合う音が、やけに淫猥に耳に響いて、たまらなくなる。
「進藤…!」
押さえつけるようにして、進藤がボクの中に熱い飛沫を迸らせた。
その内部を焼く感覚に、ボク自身も快楽を宙に放った。
遠のいていく意識の底で…きっと、ボクは生涯、逃げられない。思う。
運命という鎖に縛られて、ずっと囚われている。心も身体も。
離れられない、囲碁からもキミからも。
Love Slave
まるで愛の奴隷のように――。
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