宴 〜楽しみはこれから〜 1 - 4
(1)
アキラは周りを気にしながら一人廊下を歩いていた。
どんな宴も夜中の2時を過ぎた頃になれば静まりかえり、何だか祭りの後の寂しい雰囲気
が旅館を包む。
今日は恒例の囲碁ファンとプロ棋士の交流会である「ふれあい囲碁祭り」があった。その
目玉としてアキラも参加することになっていたのだ。
だがアキラにはそれよりも大きな仕事が待っていた。失敗の許されない大切な仕事が…。
部屋の番号とその部屋の主の名前が書かれたメモを見ながら目的の部屋へと向かう。だが
アキラの脚は部屋が近づくにつれてガクガクと震え始めた。
アキラの中ではいくら仕事とはいえ、納得できるものではなかったからだ。
「ここにいましたか、アキラ先生」
その声にアキラはビクッとして振り返る。
「あまりにも遅いのでお迎えにあがろうと思っていたところでした。さあ、早く。先生が
お待ちです」
秘書らしき男に誘導され、アキラはもっと時間をかけていくはずだった廊下を足早に歩か
せられる。
これは仕事なんだ。これくらい我慢しなければ…。アキラはそう自分に言い聞かせながら
部屋へと急いだ。
(2)
部屋に通されると、アキラはまず咳をした。部屋には膜がはったようなタバコの白い煙が
充満し、そして床やテーブルには何本ものビール瓶やおちょこなどが散乱していた。
「…おやおや、随分と遅かったですね。逃げられたのかと思っていましたよ」
脂っぽい腹の出た中年の男が下卑た笑い声を上げながらアキラを見る。酔いすぎて目がい
ってしまっている。そして酔いのせいか理性のなくなった獣は、臆することなくアキラの
体を舐めるように見つめた。
その姿に寒気と吐き気を覚えつつ、アキラはいつもの笑顔をつくった。
「すみません。ボクこの旅館、初めてなので」
その天使のような笑顔に男は目を奪われる。
「まぁいい。それよりも早くこっちへこい」
男は手招きをするとアキラを寝室のある部屋へ連れていこうとした。
「ま…待ってください。その前に、きちんと約束は守ってください」
アキラは書類の入った封筒をポケットから出した。
「そんなものあとでいくらでも書いてやる。ほれ、焦らさずにさっさと来るんだ」
「いえ、約束を守ってもらう意志のない方とはできません」
アキラは声を荒げた。仕事とはいえ、正当な理由があれば拒むことが可能だと考えていた
のだ。だがそんなアキラの願いなど届くはずもなかった。
「わかった、わかった。そう大声をだすな。せっかくの楽しみが台無しになるだろう。お
い山崎」
男は先ほどの秘書にそう声をかけると、アキラの持ってきた書類にサインした。
「さぁ、これで文句はないだろう。ゆっくりと楽しもうな、アキラ先生」
男はアキラの肩を抱いた。
アキラは諦めたかのように目を閉じて溜め息を吐くと、男に身を委ねた。
(3)
男はアキラを布団の上に横にさせると、衣服の上から体をさわり始めた。
「あ…あのっ、忘れないでください…。これは…」
太い指が体を這い回るのが気持ち悪くて、アキラはその手を止めようと話しかける。
だが男は手を止めることなくわかったような口ぶりで話した。
「さわるだけ、だろ? そんなことはわかってる。私はこれでもキミが成人するのをもう
何年も待ち続けているのだからねぇ」
男はそう言うとアキラの股間をやんわりと握った。
「キミのことを私はずっと前から知っているんだ。ここがまだ毛と無縁だったころからね」
男は笑った。
アキラは遠い記憶を思い出す。そして後悔した。だがそうは思ってももう手遅れなのだと
諦めるしかなかった。
呆然と物思いに耽るアキラをよそに、男は待ちきれなかったとでもいうように服を脱がし
始めた。息を荒げながら剥ぎ取るように脱がすと、アキラの足首をつかんで足を開かせた。
「キミのここもだいぶ大人っぽくなったねぇ」
男は興味深げにそこを見つめる。
「そんなに…じっと見ないで…」
アキラは手で顔を覆い隠した。
「何をそんなに恥かしがる。昔のキミは喜んで私たちに見せてくれたじゃないか」
男は当時を懐かしむようにアキラの珍子を弄んだ。
「それにしても、早くここに入れられる日が来るといいねぇ」
男の太い指がアキラの尻の間を割りは入り、アナルへ滑り込んだ。
「はぁっうっ…や、やめてください!」
息も切れ切れにアキラは頼んだ。
だがそれは男を止めるどころか、起爆剤となった。
(4)
男はアキラの足を抱え込むと、搾り出すようにアキラの珍子を扱いた。長年の経験とツボ
をおさえた愛撫は、アキラを嫌悪感から快楽へと一気に引き込んだ。
「ア…ン、ヤッ…ヤァ…」
アキラは甘い声をあげてそれを感じる。
「おやおやもう感じ始めたのかい? 全くキミは本当に感じやすいんだねぇ」
笑いながらアキラの反応を楽しんだ男は自分の指をしゃぶると、アキラのアナルへ突っ込
んだ。
「アァアッ! ヤメテ! いやだぁ…」
アキラは珍子を激しく扱かれながらアナルに指を出し入れされるのが気持ちよくて、次第
に我を忘れて感じ始めた。
「キミは本当にいい声でなくねぇ。たまんないよ。女でもそう簡単にそんな声をだせない
ぞ。そう考えるとキミは生まれもっての素質があるのかもねぇ」
男はそう言うとアキラの胸を無理にわしづかみした。
「痛い…アッ…やだ…そんな強く…揉まないでくだ…さい」
ガシガシと強く揉む手をアキラは振り払おうとするが、快楽に溺れ始めたアキラには抵抗
らしい抵抗はできなかった。
「本当に男でいるのがもったいないくらい淫乱な体だよ」
男の蔑むような笑い声をアキラは遠くなる意識の中で聞いていた。
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