願いごと! 1 - 4
(1)
「ぎゃあ!!」
空気を裂くような悲鳴が聞こえてアキラは飛び起きた。ヒカルの部屋からだ。
ここは某ホテル。昨日はここで若手棋士が集まり歓談したのだ。
はしゃぎ疲れたヒカルは早々に寝てしまい、アキラは悔しく思っていた。
せっかくあんなことやこんなことをしようと思っていたのに……。
まだ夜明け前だ。いったいどうしたのだろうか。アキラは隣のヒカルの部屋へと行った。
「進藤! どうしたんだ!」
「と、塔矢? は、入ってくるなよ!」
狼狽したヒカルの声が聞こえる。まさか誰かがヒカルの部屋に忍び込んで――――
そう考えるとアキラはいてもたってもいられなくなった。
ドアノブを勢いよくまわした。バキッ、という音ともにドアは開いた。
「進藤!」
「見るなよ、塔矢!」
アキラは布団をかぶって身体を隠すヒカルに近寄り、それを思い切り剥いだ。
「し、進藤!?」
アキラは我が目を疑った。
そこにいたのは、出会ったばかりの頃のヒカルだったからだ。
つまり幼くなっていたのだ。
「いったいこれは……?」
「知らねえよ。何か変だなって気がして起きてみたら、こうなってたんだ」
12歳頃だろうか。身体も頬もふっくらと丸みを帯び、柔らかそうだ。
大きな瞳は黒々として、不安げに揺れている。
パジャマは大きすぎて手足を隠してしまっている。
しかし肩の辺りがずり落ち、もう少しで乳首が見えそうなほどはだけている。
アキラはつばを飲み込んだ。
「なあ、どうしたらいいと思う?」
「……そうだね、とりあえず……」
「とりあえず?」
「しよう」
「え?」
声変わり前の声は愛らしく、アキラの理性を消し飛ばすのに十分だった。
(2)
アキラはヒカルを抱きしめた。思ったよりも柔らかい。
夢中でキスをすると、ヒカルは苦しそうな声をだした。
抵抗しようとしているが、所詮は子供の力。アキラを動かすことなどできない。
パジャマの中へと手を入れると、ヒカルの身体はびくんと跳ね上がった。
かまわずにその肌を堪能する。子供特有のしっとりすべすべとした肌だった。
小さな胸の突起をつまむと、ヒカルは小さく喘いだ。
「感じてる?」
アキラはヒカルの身に着けているものを取り去り、じっくりと検分した。
骨格も出来上がっておらず、筋肉もそれほどついていない。
「かわいい」
やわやわと股間のものをアキラは撫でる。体毛はほとんどなく、隠すものがない。
「かわ、いいだなんて、言うなよっ……」
息を弾ませながらアキラをにらんでくる。頬はすでに紅潮している。
幼いヒカル自身はすでに屹立していた。
アキラはその小さなペニスを口に含んだ。すべてがすっぽりとおさまった。
「はぁっ!」
ヒカルはアキラの髪をつかみ、身をしならせた。目尻に涙がこぼれている。
幼い顔で喘ぐさまはまことに妖艶で、アキラをどんどん昂ぶらせていく。
口をうごめかすと、ヒカルは身体を震わせながら達した。精液が薄い気がした。
ヒカルの肌は熱を持ち、うっすらと紅に染まっている。
アキラはアヌスへと指を這わせようとした。
「やだ……やめてくれよぉ、塔矢……」
身体を縮こまらせてヒカルは懇願する。何だかいけないことをしている気になってくる。
が、やめる気はないので、そのまま中へと指を突き入れた。
「んんっ!」
ヒカルの中は熱く、指を締め付けてくる。少し狭い気がするが大丈夫だろう。
広げるように指を動かし、ヒカルの感じるところを突いていった。
「あぁっ、やぅっ……」
首を振るとぱさぱさと枕に髪が当たる音がする。
「お願いだから……やめてくれ……」
ヒカルは目に涙をにじませてアキラを見つめてくる。
その表情は苛めてくれと言っているようにアキラには思えた。
(3)
「ごめん。やめられない。だって、手に入れたいと思ったころのきみが目の前にいるんだ。
ガマンなんてできるはずないだろう?」
出会ったあの頃からアキラはヒカルを欲していた。
今でも、あの時ヒカルの身体を無理やりにでも自分のものにしていればと夢想する。
それは不可能なことだ。だがそれが叶ったのだ。アキラは止まらなかった。
アキラはヒカルのものよりも倍以上大きいペニスをアヌスへと押し付けた。
「やだ! やだぁ! あぁっ!」
小さなそこは最初は侵入を拒んでいたが、ゆっくりと飲み込み始めた。
すべてを収めるのにそう時間はかからなかった。
子供は身体も筋肉も柔軟だ。アキラはヒカルのふとももを両腕で挟んだ。
「ふ、ふっ、うぅ……」
大きくヒカルの胸が上下している。目は濡れて輝いている。
アキラは円を描くように動き出した。するとヒカルは声をあげた。
それは悲鳴ではなく嬌声だった。
「小さくても感じているんだね……」
ヒカルの中は居心地が良かった。アキラのペニスを締め付け、からみついてくる。
「あぁん、もっ、とぉ……とうやぁ……」
しがみつき、腰を振ってくる幼いヒカルはどこか倒錯的で、アキラはめまいがした。
自分の胸の中にすっぽりと入ってしまうヒカルが愛しい。
髪の毛から甘いにおいがする。いやヒカル自身の身体からかもしれない。
いつもとは違う抱き心地にアキラはうっとりとした。
「と、とうやぁ……」
舌足らずに自分の名を呼んでくる。アキラはその唇をふさいだ。
その口腔を舌で存分に侵す。ヒカルは幼い舌で懸命にそれに応えてくる。
ヒカルの中が激しくうごめきだした。終わりが近いのだ。
アキラはヒカルの背に腕をまわし、腰を引いた。そして次の瞬間、大きく突き上げた。
「ああっ!!」
ヒカルの顎がのけぞり、その未熟な性がアキラの腹部へと放たれた。
(4)
アキラはその後も無我夢中でヒカルの身体をむさぼり続けた。
こんな機会はもう生涯おとずれないであろうことは分かっていた。
天の神にアキラは感謝した。もう何が起きてもいいとさえ思われた。
「ん……」
アキラは身じろぎした。そして驚きのあまり息が止まるかと思った。
自分よりも大きな誰かが自分を抱きしめているではないか。
そんなばかな。たしかヒカルとともに眠りに付いたはずだ。
恐る恐るその顔を覗き込んだ。その寝顔は見慣れたものだった。
「進藤……」
いつもとかわらぬ、大人の顔をした彼。大人の……。
「ええ!?」
アキラは飛び起きて、自分の身体を見渡した。
「ち、小さくなっている!」
身体を意味もなく撫で回す。どうしたらいいのだろうか。
確かに何が起きてもいいとは思ったが、本当に起きるとは。
「……塔矢……?」
ヒカルが目を開け、ぼんやりとアキラを見つめてきた。そして急に起き上がった。
「その格好!」
「わ、わからない。気付いたらこうなってて……」
アキラはうろたえていたが、ヒカルが笑う声にどきりとした。
「小さいおまえもそそるじゃん」
そう言うと、ヒカルはゆっくりと手をのばしてきた。
「オレさ、この頃のおまえをいっぺんヤッてみたいって思ってたんだよね」
その笑顔は艶やかで、アキラは一瞬見惚れた。その隙に押し倒されてしまった。
「進藤!」
「だからさ、神様に願ったんだ。さすがに時間は戻せないみたいだけど、こういう方法も
ありなんだな」
満足そうにうなずくと、ヒカルはアキラの首筋に唇を寄せたのであった……。
――――終わり――――
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