椿章(裏) 1 - 4


(1)
「椿さん…オレを嫌いにならないでね…」
そう言って進藤は俺の股間に顔を埋める。細い肩からバスタオルが滑り落ち、
少女のような裸体が目の前にひざまずく。
「お、おい、やめろ…!進藤…!」
進藤は俺の股間に顔を近付け、小さな舌先で俺の亀頭の先をちろちろと
舐め始めた。既に張り詰めていた俺自身はわずかな刺激に跳ね上がる。
進藤はベッドの上で体をずらし、俺の腹の上に被い被さるようにして俺自身を
舐めあげる。アイスキャンディーでも舐めるように。俺は暫く身動きできな
かったが、たまらず、進藤の足首を掴んで引き寄せた。
「あっ…」
そのまま進藤の体を俺の体の上に伏せさせ、仰向けに寝ている俺の顔の上を
またがせて俺自身を舐めさせる格好にさせた。両足首を掴んで足を開かせる。
進藤が小さく叫び声をあげる。ぱっくりと開いた白い双丘の奥が俺の目の前に
露になった。進藤が逃げようともがき、双丘の下でかわいらしい袋が揺れた。
「や…だ、恥ずかし…い…」
「いいから続けろ。」
羞恥心が刺激され興奮したのか、袋の向こうに果実のように下がった進藤の
ペニスがじわりと膨らむ。進藤は観念したように行為を続けた。
俺はしばらく、呼吸するようにもぞもぞと皺が動く進藤のアヌスを眺めて
いたが、少し顔を前に出し、双丘を手で抱え込むようにして進藤の袋の後ろ
からアヌスにかけて舌を這わし始めた
「やっ…」
アヌスの周囲をマッサージするように吸い、舌を中に差し込む。
「やあッ…だッ…椿さ…!」
ほとんど行為を続けられなくなった進藤の狭道の奥を舌で擦り続けた。


(2)
「あっ…あっ…やああっ…!」
舌をとがらせ、進藤のアヌスへの抽出をくり返す。進藤はほとんど俺の体の
上に伏せたまま何も出来なくなっていた。
良くほぐれているか、今度は指でその部分を押し広げてみる。
「あっ…」
俺のだ液で適度に濡れてしっとりと光る火口は、指の力に抵抗なく広がり
内部を曝した。淡い肉壁が収縮している。その奥へ人差し指を挿入させる。
「ううーん…」
ビクビクッと進藤が体を震わせた。俺は進藤の体の下にさらに潜り込むように
して狭道に指を潜り込ませたまま進藤のペニスを口に含んだ。
「はあっ…!」
口の中で進藤のぺニスがさらに膨らみあがるのを感じた。指を二本にして
抽出を激しくすると、進藤の甘い喘ぎ声も次第に激しくなっていく。
「はっあっ…あっ…だ、ダメ…っ」
口の中の進藤のペニスの先から温かい雫が漏れ出すのを舐めとり、進藤の体の
下から体を起こし、今度は進藤の体を仰向けにする。指を引き抜き、自分の
モノを火口に押し当てる。
「入るぞ…進藤…」
ほとんど半分泣き顔になって、進藤は頷く。ハアハアと肩で息をし、頬は赤く
紅潮している。子供のように親指をくわえて涙を浮かべている。
たまらなく愛しいと感じた。女でも、この瞬間にここまで色香を出せる奴は、
そういないだろう。
膝が胸につきそうになる程に進藤の足を抱え込み、体重を乗せる。
「ふううーん…っ」
進藤の切なく呻く声と共に、俺自身が進藤の中にゆっくり埋まっていった。


(3)
進藤は固く目を閉じ、ガクンガクンと痛みに耐えながらも根元まで俺自身を
受け入れてくれた。
「はあ…っ」
熱い吐息に引き寄せられるように、俺は進藤の顔に自分の顔を近付け、
唇を重ねた。最初は軽く、そして深く合わせ、進藤の小さな舌を吸い取り
舐め回した。頭の芯がボーッとしそうになるように、甘い。
進藤の内部はかなりきつかった。初めてなのだから仕方がない。傷をつける
事だけはしたくない。こんな俺を受け入れてくれたのだから。
俺は進藤の唇から胸へとキスを移動させた。
「あ…んんっ」
進藤の両手首を押さえ、俺の顎ヒゲを進藤の上半身に這わせる。
「…くすぐったい…よお…」
その合間に軽く乳首を噛む。その度に進藤の体の奥も締まる。俺が動いて、
進藤を苦しめる必要はなかった。片手を進藤のペニスに添え、包み込み、
ゆっくり動かす。
「うん…うっ…んん…」
進藤が充分感じているのを確認して、俺も圧迫感を与える程度に動かす。
その動きにリズムを与えると、進藤が頂上への階段を上がり始めるのが
分かった。
「はっあ…ああっ…」
進藤は無意識に指をくわえているようだ。さっきまであんなに妖艶で大人っ
ぽく見えた表情がやけに幼く見えた。俺は前と後ろのリズムを速めた。
「あ…っあ…っ、…んんっ!!」
進藤の呼吸が早まり、一瞬硬直したように動かなくなったかと思ったら、
電気が走ったように体の奥を震わせた。同時に俺も到達し進藤の中に放った。


(4)
「うおおおおおおおおおおおっっっ!!!」
ガバッと飛び起き、ゼイゼイと肩で呼吸をし、周りを見回す。
ふとんの上には自分一人しかいない。
「…またか…っ」
あの日以来夜な夜な進藤が夢の中に現れてはあの日のシチュエーションを
くり返し、うなされる毎日が続いていた。
枕元に散らばる最近の囲碁関係の新聞で、進藤がプロ戦に復帰した事を
知った。
それはそれでいいのだが…。
「ぐわあああ、やっぱあの時、ほんの先っぽだけでも入れさせてもらって
おけば良かった…、進藤オオオオオ…」
椿俊朗、30才の夏…だった。

    〈終わり〉



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