穴ーる妄想 1 - 5
(1)
「おい、塔矢。オマエの穴、弄りたいから脱げよ」
進藤のその言葉に、ボクは硬直した。
最近、進藤はおかしい。時々、妙にイライラしていて、嫌な笑い方をする。
そして、そんな時は決まって、ボクを酷く抱くのだ。
ボクの身体を好きにして、もてあそんで。
でも…そんな彼に従順に従ってしまう自分は…もっとおかしいのかもしれない――。
微かに震える指で、ボクはシャツのボタンをはずしていく。一つ、また一つ。
緩慢なその動きに焦れたのか、急に進藤が近づいてきて、ボクのシャツの前を割り開いた。
まだ外れていなかったボタンがはじけ飛ぶ。
「っ!」
抗議の声を上げようとしたボクの唇に、進藤の熱い舌が触れた。
舐められる。濡れた感触に、薄く唇を開くと、口づけが深くなった。
「…っぁ…」
舌を絡ませて、吸われて、息が上がる。
ぴちゃぴちゃと卑猥な唾液が混じる音が耳に届く。
いつしかボクも夢中になって進藤に応えていると、カチャッ、ボクのベルトを外し始める進藤の指先。
ジッパーを下ろされて、スラックスを脱がされて。
(2)
下着だけになったボクの下半身の変化に、進藤がいやらしげな笑みを浮かべる。
ようやく離れた唇からは透明の糸が伝って切れ落ちた。
「今日はオマエの前には触ってやんない。穴だけいじってイかせてやるよ」
にやりと笑った進藤は、ボクの後ろへ手を廻すと、いきなりボクのブリーフの中にその手を滑り込ませた。
お尻の割れ目を指がなぞって、下の方へとくだっていく。
「…やっ…ぁ」
進藤の指が目的の場所へと辿り着くまで時間はかからなかった。
入り口を何度かなぞられるたびに、ボクの身体はゾクゾクとした妙な感覚に襲われる。
息が変に乱れ始める。
「まだちょっと触っただけなのに、勃ってやんの。塔矢ってホントに好きものだよな?」
笑みを含んだ進藤の声に、羞恥心が生まれる。
頬が熱くなって、赤い顔をしているだろう自分が恥ずかしい。
するり、進藤の手が下着から抜かれた。
「…塔矢、パンツ下ろして、四つん這いになれよ」
こっちに尻、向けて。弄りやすいように、脚を広げてさ。
――こんな時、進藤の命令は絶対だ。逆らうことなんて出来ない。
ボクはこれから進藤に施される行為を想像して、吐息を漏らしながら、熱く身体を震わせた。
(3)
「ははっ、最近俺がココ弄ってばかりいるから、なんか前より肉付きがよく
なってないか?」
ヒカルはそう言いながら、右手の人差し指をアキラの口の中に押し込む。
「ほら塔矢、俺の指をしゃぶれよ。これでお前の中をほぐしてやるから。
ちゃんと唾液つけないと痛いだろ」
進藤にとても屈辱的な事を命令されている。
でもボクは進藤に逆らえない。
どうしてなんだろうか。それは――やはり彼が好きだから。
彼が欲する欲望に出来るだけ答えたいから。
嫌、違う。
それは自分を誤魔化している。
本当は、進藤が与える荒々しい愛撫に体中が熱くなり、進藤が欲しくて
堪らなくなるから。
ボクの体はそういうふうになっている。
進藤にそのように反応するように抱かれて、つくられたから。
(4)
ボクは進藤の指を舌で絡めながら一生懸命舐めた。
「なあ塔矢、音をたてながらしゃぶれよ」
「うっぐ、んふ・・・・・う・・・・」
クチュグチュチュといやらしい音をあげると、進藤の左手がボクの尻の方に
背中をつたいながら臀部の方へ行き、ある箇所を再び撫で始めた。
「んん・・・・うぶっ!」
進藤の指がボクのアナルを撫でる度に、体内が段々と熱が込み上げてきてくる。
その行為に我慢出来なくて声を上げると進藤はピシャリとボクの尻を叩いた。
「塔矢! 口が留守になってるじゃねえか」
ボクの口に入っていた進藤の指が上下に激しく動き出した。
まるでその動きはピストン運動のようだ。
唾液が口の端から一筋流れた。
(5)
進藤は一本、また一本とボクの口を犯す指の本数を増やしていき、
それにつれてこじ開けられたボクの口からは抜き差しのたびに涎が溢れてだらしなく
顎までを濡らした。
やがて、ぢゅぷり、と音を立てて進藤の指が勢いよく引き抜かれた。
楔を抜かれたボクの口から唾液が散って、ボタリと大きな一滴が四つん這いのボクの
手の甲に落ちる。
ボクは進藤が目の前に見せつけるようにヒラヒラかざす指を見た。
それはボクの欲深な唾液で滴るほどに濡れていて、それを見たら何だか急に
自分がとても嫌らしいことをしたように思えてきて、ボクは思わず目を伏せてしまった。
「オマエの穴も、勝手にこんくらい濡れてくれたら楽なんだけどな?」
無理な注文を言いながら進藤はボクの背後にまわり、
乾いたほうの指で穴の周りをもう一度くるっと一撫ですると、改めてボクの唾液で
濡れた指先をそこにあてがった。
ボクはそれがすぐ動き出すものだと思っていたけれど、進藤が考えていたのは
別のことだった。
「あ、進藤・・・っ!あ、・・・やっ、やぁっ・・・!」
ぬるりとした感触が押し当てられては離れ、離れてはまたからかうように触れてくる。
濡れた指先とその箇所の粘膜が自然と吸い付き合って、まるでお尻の穴が
誰かとキスしているような感覚をもたらす。
強引に扱われるのとはまた別の、優しいもどかしい刺激に耐え切れずにボクの上体は
崩れ、結果進藤に向かってお尻だけを高く突き出す格好となった。
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