失着点・龍界編 1 - 5


(1)
薄暗い明かりの下で安っぽいベッドのパイプの音が軋む音が響いていた。
一人の少年がその天井から下がったヒモに両手首を繋がれ,体を半分吊り下げ
られた状態で、さらにそのベッドに座した男のモノを下腹部に銜え込まされ
喘いでいた。
三谷裕輝だった。
三谷はボタンが全て外されたシャツ一枚で後は裸にされ、男に背後から足を
開かされて、前方にいる別の男に局部と男と結合している部分を曝している。
全身に殴られたり蹴られた痕があり、唇にはまだ血が滲んでいた。
吊るされた手首がちぎれそうに痛むのだが、力を緩めると体重が男を受け入れ
ている一点にかかってしまうため,わずかに手に絡んだヒモに掴まり続ける
しかなかった。
「うっ…くうっ…」
そんな三谷の努力をあざ笑うように体の下で男は時折激しく腰を上下させ、
三谷とのとろけるように熱い接触を満喫している。
「…相変わらず、いい具合だな、“子猫”ちゃん…」
男の卑猥な皮肉には耳を貸さず三谷は歯を食いしばって耐えていた。
その三谷の隣、床に敷いたマットの上にヒカルはいた。
ヒカルは服は着ているものの一人の男に後ろ手に掴まれてもう一人のサングラ
スをかけた男のモノを口に銜えさせられていた。その状態で横目で三谷の
様子を見遣る。
「お友達の事が心配だったら、さっさと言う通りに済ませる事だな。」
サングラスの男はヒカルの頭を掴んでモノをさらに咽の奥に差し込む。苦し
くてヒカルの目から涙がにじみ出る。男は容赦なく腰を突き入れて動かす。


(2)
三谷と供に男達にこの人気のないマンションの一室に連れ込まれてどれくらい
時間が経ったのだろう。

その日、ヒカルは午前中の指導碁の仕事を終え、空いた時間にたまには他の
碁会所をのぞいてみようと街を歩いていた。
つい先日、ヒカルは名古屋の親類の家から東京の自宅に戻った。
明日は、久々に東京の棋院会館での大手合いだ。アキラと同じ空間で打てる。
もちろん伊角と和谷もいる。だが、アキラと二人だけで過ごした日々の中で、
彼等との出来事は紅茶の中の角砂糖のように小さくなりやがて消えて行った。
当然失踪騒動のツケはかなりのものになった。自分よりアキラの方がより多く
のものを失ったはずである。大きなタイトル戦への挑戦権もはく奪されかねな
かった。だがアキラは何一つ日本棋院や棋士会の決定に異義は申し立てないと
いう意思表示をした。
結果的にはイベントなどの対外的な活動を3ヶ月停止することに留まった。
後は本人達の精進の精神に寄る所と判断してもらえたのだ。二人は再度、
囲碁の高みを目指す事を誓った。離れていても目指すべき場所は一つなのだ。
「…強くなっているんだろうな、塔矢…。」
そういう明るい気分で、いつもは行かない場所にまで足を延ばしていた。
碁会所の中にはいかにも怪し気な看板に囲まれたビルの一角にあったりして、
当然そういうところは避けていた。どんな相手でも怯まず戦えるようになる
のが理想ではあったが。
そういう類の場所から2人の男と連れ立って出て行く三谷を見かけたのだ。


(3)
どう見てもかなり年上で、とても堅気には思えない服装の男達に両脇を
挾まれるようにして路地の奥へと三谷は消えていった。
ヒカルは胸騒ぎがした。
(三谷のやつ、また何か揉め事を…?)
三谷の存在は胸の奥に残ったままの小さな爪痕だった。何故か消えない爪痕。
ヒカルは携帯電話を手に握り、そっと後をつけた。彼等が三谷に暴力を
振るうような事があったら通報するつもりだった。ヒカルの勘は的中した。
路地奥の彼等が入り込んだ方向から罵声と共に争う物音がした。
「約束が守れねえってどういうことだ、このガキ!!」
ガッと鈍い音が響いてくる。
「…あんたらが一方的に言って来た事だろ。オレは同意したつもりは…」
三谷の声は、再び何回かくり返す鈍い音の中で呻き声に変化する。ヒカルは
携帯のボタンを押そうとした。その腕を背後から誰かに掴まれた。
「かわいい“仔犬”がもう一匹、迷い込んだなあ。」
体の大きな、サングラスをかけた中年の男が立っていた。彼等の仲間にヒカル
自身も後をつけられたのだ。ヒカルが声をあげようとした瞬間腹部に拳が入り
うずくまりかけたところを襟首を掴まれ壁に背中を叩き付けられて、
そのまま強い力で押し付けられた。
「う…ぐっ…」
「おとなしくしてな。」
その男は地面に落ちたヒカルの携帯を取り上げると自分のポケットに入れ、
ヒカルの肩を抱いて路地奥に連れていった。
そしてヒカルは、二人の男達の足下にうずくまっている三谷を見た。


(4)
「う…ううっ」
顔の半分を血に染め、三谷は左手の甲を靴で踏みにじられ苦痛に喘いでいた。
「…三谷!!」
ヒカルの声に、三谷はひどく驚いて顔を上げた。
「…!」
「お友達が助けにきてくれたようだな、“子猫”ちゃん。」
手を踏んでいた男がヒカルを見て口笛を吹き、そのままかがみ込んで三谷の
髪を掴んだ。
「なかなか美人さんじゃねえか。」
「知らないよ…そんなやつ」
ガッと地面に頭を打ち付けられた。
「やめろよ!!」
ヒカルがサングラスの男の手を振りほどいて三谷に駆け寄ろうとするが、もう
一人の男に捕まる。
車のエンジン音がして、狭い路地裏の通路を小型のワゴン車が侵入して来た。
「二人とも乗りな。」
「…!やだよ…!」
ヒカルが男達を睨みかえした。すると三谷の髪を掴んでいた男が三谷の脇腹に
蹴りを入れた。
「ぐわあっ!」
三谷が地面の上を転げて苦しがった。
「三谷!!」


(5)
三谷の名を叫ぶヒカルに、抱き着くようにして捕まえている男が耳元に息を
吹き掛けるようにして話しかけてくる。
「少しお話したいだけだよ。ちょっとつき合ってくれや、美人さん。」
そういってヒカルの耳の中をべろりと舐めた。
背筋が凍るような思いで、ヒカルは男達と三谷と共にワゴン車に乗った。
車中、三谷は無言のままだった。
男達は興味深げにヒカルを眺め、ひそひそ耳打ちする。

そして連れてこられたのがこのマンションだった。郊外のどこかで周辺に
住宅が無く、マンション自体にほとんど人が住んでいる気配が無い。
この部屋の中に入ると同時に三谷だけ上着とズボンを脱がされた。そして
ベッドの上に座らされ上半身を伸ばされるように両手首で吊り上げられた。
ヒカルは1人の男に押さえ付けられサングラスの男の足下に膝まづかされた。
サングラスの男は自分のスーツのズボンの前を開けるとヒカルの鼻先に自分の
モノを突き付け、顎で指図した。
ヒカルは男を睨み付けると顔を反らした。
そんなヒカルの耳に、ベッドの上で男に容赦なく一気に後ろを貫かれて
三谷が呻く声が響いて来た。
「や、…やめろよっ…!」
ヒカルがそっちに向こうとするが後ろの男に腕をひねられ元の姿勢に
戻される。
「…同じ事をされたくなかったら、大人しくヤるんだな。」



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル