昼下がりの遊戯 1 - 5
(1)
―――暑い、夏の午後の昼下がり。
進藤家は今日は両親とも不在で、ヒカルが一人留守番する事になっていた。
しかしそのヒカルの部屋からは、まだ日も高いこの時間には似つかわしくない、
悩ましげな声が引っ切り無しに響いていた。
「…はぁ、はぁっ…っ……あっ!…ん…っ…はぁ…」
(2)
白いタンクトップ一枚の他には何もつけていないという格好のまま、
ベットの上でヒカルの身体が揺れている。
うっとりと目を半開きにして大きく開脚し、
その奥の菊門には既に三本もの自分の指が突き立てられ、
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を響かせながら激しく出入りをしていた。
「う、んんっ はあっ はあっ…どうしよう…止められねぇよ……
気持ちいい…」
指を出し入れする度に湧き上がる、その部分から足先にかけて痺れるような、
甘い感覚がヒカルを襲う。
両方の膝が自分の顔の両端近くにくる位に自ら身体を折り曲げ、
指を根元まで押し込んでみる。
そのまま深くえぐりながら出し入れを繰り返す。
「…あぁ………んんっ…んっ…気持ちいい……」
ヒカルの目の前に既に立ち上がって先から透明な雫を垂らしている
自分の肉棒が晒される。
それはふるふると震え、すぐ後ろの蜜壷に指が出し入れされる際の振動で
雫がヒカルの顔に飛んでかかる。
それでもヒカルは淫らな行為を止めようとはしなかった。
ピンポーン
その時、ヒカルの家のインターフォンが鳴った。
(3)
ヒカルは、最初それを無視しようと思った。
だが、今日は両親が出かけている。そう言えば、出かける前に母が、
何か荷物が届くとか言ってはいなかったか?
到達する寸前で行為をやめることは、ヒカルに苦痛を与えた。
よろよろと立ち上がり、服を身につけようとしたが、うまくいかない。
敏感になった体は、ホンの少し布がこすれるだけで、ヒカルを悶えさせた。
「あぁん…」
股間の膨らみを隠せるように、サイズの大きい丈の長いシャツを着た。
「やっぱ、わかっちゃうかな…?」
シャツを前に引っ張りながら、呟いた。
インターフォンは、その間も鳴り続けていた。
どうにか服をつけ、階下に降りていく。
「はぁ……んん……」
一歩、歩く度に吐息が漏れた。
ヒカルは、インターフォンを取り上げずに、直接、玄関のドアを開けた。
「あ…」
玄関の前に立つ人物は、ヒカルの予想とは違っていた。
ヒカルは、熱の籠もった潤んだ瞳でその相手を見つめた。
(4)
「とう…や…」
訪問者はアキラだった。
宅配業者とばかり思っていたのに…ヒカルは予想外の訪問者に狼狽する。
ヒカルは、先日アキラと会った時に今日は一人で留守番だから家で打たないか?
と誘っていた。結局、多忙なアキラは断らざるを得なかった訳なのだが
予定よりも仕事が早めに終わったアキラは律儀にもヒカルを尋ねて来たのだ。
「今から一局打たないか?…進藤、風邪でもひいたの?」
玄関から出て来たヒカルは息も荒く頬が紅潮していてとてもツラそうだった。
寝ていたのだったら悪かったとアキラは誤った。
そんなアキラの言葉を遠くで聞きながら、ヒカルはこの熱い体をどうしようかと
ぼんやり考えていた。
(5)
ふいにひたっと、アキラの手がヒカルの額にあてがわれた。
「ちょっと熱いかな…どうかな…。」
額では分からないというようにアキラの手はヒカルの首の後ろに触れて来る。
「具合が悪いのならちゃんと寝ないと…」
ヒカルの顔色を覗き込むようにして、至近距離でアキラの唇が開き、その奥にちらりと
舌が動くのが目に入った。
ヒカルは衝動的にアキラの背中に腕を回して引き寄せ、あむっとその唇に食らい付いた。
「んっ…!?」
突然の出来事にアキラは驚いて目を見開く。夏の日ざしの下を歩いて来たアキラの
体は少し汗ばんでいて、それでもわずかばかりでしかないアキラの体臭がさらに
ヒカルの自制心を奪った。
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