トーヤアキラの一日 10
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思いとは裏腹に、アキラの右手は自然に股間に近づいて行く。パジャマの中に手を入れて、
下着の上から自分自身にそっと触れる。そこは恥ずかしくなる位に硬くなり、存在を主張
している。躊躇しながらも、下着の中に手を入れて軽く扱くと、ヒカルがそこに触れて
くれた時の感覚が蘇り、分身も嬉しさにヒクヒクと震えている。
───ん・・・・しんどぅ・・・・・キミに触れたい・・・・
キミの甘い匂いを深く吸い込みながら、細い首に口づける。柔らかい髪に手を入れて
キミの頭に直に触れる。首筋から耳へと唇を這わせ、耳朶を軽く噛むと、キミは
『あっ!!』と小さな悲鳴を上げる。もっと可愛い声が聞きたくて、ピチャピチャと音を
たてて耳朶を舐めまわす。キミは『ぁん、トーヤぁ』と言いながらボクの体に足を巻き
つけて来る。キミの次の声が聞きたくてキミの下半身に服の上からゆっくり手を滑らせて
行くと、もどかしげにキミは体を捩りながら『んっ、早くぅ、して・・・・・んんっ』と
ボクを誘う。
瞼の中のヒカルの声にアキラはさらに煽られ、体中の血液が沸騰したように燃え上がる。
アキラの息遣いは荒くなり、手の動きも激しくなる。喜びの雫で、下腹部が濡れる。
───あぁ、ダメだ!!このままではもうイッてしまう!!
───まだキミの中に入っていないのに・・・・!!あの声も聞いてないのに!!
───うぅぅ・・・あぁぁ!・・・進藤、しんどー、しんどぉぉぉぉぉ・・・・!!!!
アキラはあっけ無く手の中に精を吐き出した。
断続的に震える分身を手で包み込み、余韻に浸る。
暫くして頭が覚醒すると、激しい自己嫌悪が襲って来た。ティッシュの箱に左手を伸ばすと、
怒った様に、何枚も抜き取る。自分の精液でベトつく右手をティッシュで拭くと、虚しさが
アキラを支配して涙が溢れる。
自分で自分の体を抱き抱えるようにして横になり、目を閉じる。体の力を抜いてじっと部屋の
空気を感じていると、次第に惨めな自己嫌悪の淵から現実に引き戻され、気持ちが落ち着く。
───明日はキミに会える・・・・早くキミの笑顔が見たい・・・・キミに触れたい・・・・
軽い虚脱感の中で、アキラはヒカルの事を想う事で心が満たされていく。明日の事を考え
ながら、次第に眠りに落ちていった。
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