○○アタリ道場○○ 10
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「なっ、なんでまた いかにも『お袋さん』ってな格好をワザワザして
いるんだっ―――!?」
「何事も形から入れというじゃないですか?」と、おかっぱはシラッと
言う。
「まあ、それはそうだが。
っていうか、キミはもろハマリすぎなんだっあぁっ――――――――――――――!!!!!」
「そんなことはどうでもいいですよ、そうだ緒方さん。
今日はサバの煮つけ、それか鰆西京焼きのどちらがいいですか?」
「あ、オレはサバの煮つけがイイ・・・・い、いやそうじゃなくてっ!」
兄貴は焦った。日本の囲碁界を背負う人間の1人であるおっかっぱの
美的感覚を なんとか普通にしようと必死だった。
「アキラくん! ちょっとオレの話を聞いてくれっ」
「だから聞いているじゃないですか。
サバの煮つけと鰆西京焼きのどちらがいいって」
「だぁあ〜あああ〜からぁぁああ〜、人の話を聞けえええぇぇえ―――!」
「ハイハイ、何ですか?」
「ゼイゼイッ・・・・・、キミはもう少し日本の、いや世界の碁界を背負う自覚
を持たなくては・・・」
兄貴が言いかけていたその時、コンロにかけていた鍋が沸騰して、煮汁が
噴出した。
「あっ、火を小さくしなきゃ!」
おかっぱは、自分の目の前に立っている兄貴を勢いあまって吹っ飛ばして
しまった。が、鍋を優先して床に倒れている兄貴の背中の上を踏んづけて
火を止めに行った。
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