第162局補完 10


(10)

けれどどれ程強く抱き合っていても、一つになれるわけじゃない。
それでもいつかは唇が離れてゆき、ゆっくりと目を開けた二人の視線がそこで絡まった。
アキラはヒカルの存在を確かめるようにヒカルの頬に触れ、両手で顔を挟み込むようにしてじっと
ヒカルを見つめる。
潤んだ瞳に、切なげにひそめられた眉に、紅く濡れた唇に、胸が締め付けられる。
見つめるうちに湧き上がってきた涙がアキラの頬を零れ落ちるのと同時に、唇から言葉が零れた。
「ボクは………ボクは、キミなんか好きじゃない……」
そして涙を振り落とすように目を閉じてヒカルの顔をもう一度引き寄せ、今度はそっと、唇を重ねた。
そんなアキラを抱きすくめようとするヒカルを、けれどアキラは押しとどめた。
「…塔矢……?」
するりとヒカルの腕の中から逃れ出ると、アキラはヒカルに背を向けて、階段を降りようとした。
「塔矢?」
後ろからかけられた声に立ち止まって、けれど振り返らずに応える。
「……帰る。」
そうしてまたトントンと階段を降りていく。
後を追ってヒカルが降りてくる気配を聞きつけて、アキラが言った。
「ついて来るな。」
言いながら足を速める。つられるようにヒカルも足を速める。
その足音を聞きとがめるように振り返ってアキラは言った。
「ついて来るなって言ったろう…!」
「塔矢!」
思わず立ち竦んでしまったヒカルを置いて、アキラは静かに階段を降りていく。
そうして踊り場まで降りて立ち止まったアキラはポツリと言葉をこぼす。
「………嘘つき。」



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