クチナハ 〜平安陰陽師賀茂明淫妖物語〜 10


(10)
「あれ、光、まだ内裏に居たのですか」
涼しげな声に振り返ると、女のようにたおやかな容貌の友人が
きらきらと傾きかけた日差しに長い黒髪を輝かせてこちらに向かってきた。
「佐為。指導碁終わったのかよ」
「ええ、先刻。帝のもとに、訪ねて参られた御方がありまして。
光は、ここで立っているということは・・・明殿と待ち合わせですか」
「あぁ、そのはずなんだけど。・・・遅ェなぁ」
「一度様子を見に行っては?」
「う・・・ん、でも・・・オレ、外で待ってるって言って返事も聞かないで
出てきちまったんだ。賀茂にとっては迷惑だったかも・・・」
頭を掻きながら語尾を小さくして俯く光に、佐為は微笑んだ。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!