少年王アキラ? 10


(10)
 唇を震わせて悶絶しているオガタンにかけてやる言葉を、少年王は思いつかなかった。
 手持ち無沙汰になったアキラ王は、何となくピンクのチェリーを握り締める。これ
をやると寝つきが格段に良くなるということを最近自覚し、この時間には大抵ピンク
のチェリーと戯れているのだ。
「――まあ、大丈夫だよオガタン。きっと敗者復活できるから」
「どうせなら1位通過がカッコイイじゃないか」
 慰めにもならないようなことを淡々と訴え、少年王はチェリーをエリンギ化させる
ことに集中しはじめた。
「それよりも……あ、レッドとのこと……よろしく頼んだぞ」
 レッドのことを考えると、それだけでチェリーがアスパラガスほどには成長してしまう。
「レッドと初めてのキッス。どんな味がするかなぁ……レッド…あ…あ…」
 オガタンの腕の中で、少年王はくいっと身体を撓らせた。足の指を全部丸めて、
両手でアスパラガスを握り締めている。
 ぎょっとした顔でその様子を見ていたオガタンの目の下がピクピクと震え出した。
「……この状態で他の男の名前を呼ぶか? 普通…」
「ああんレッドぉぉ……」
 しかし、少年王は自分の欲求にあくまでも忠実だった。
 感極まった少年王の甘い叫びと共に、チェリーの中央から放出されたものは見事に
彼の成長を見守ってきたオガタンの顔に命中した。



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