平安幻想異聞録-異聞-<水恋鳥> 10
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「あぁ、あぁ、……あっ、…あっ…」
今度はまっすぐに頂点の快感への階段をのぼらせる。
一度達して感じやすくなったヒカルの内壁は、次々と新たな愉悦を拾いあげる。
打てば響くようなその感度のよさに、佐為の顔がほころんだ。
自分のそれを引き抜いて、ヒカルの体を裏返す。
「佐為……っ、早く…っ!」
先を催促するように腰を揺らすヒカルを背中から抱きしめて、再び佐為は中に
押し入った。
両の膝と肘とで体を支えながら、あらためて自分の中に埋められたモノの熱さに
喘いで、ヒカルが額を床に押し付ける。
間断なくその奥を摺り上げながら、佐為はその背に体を重ね、しっとりと汗ばんだ
肌のなめらかさを楽しんだ。
その床に肘をついた少年の腕にそって、自分の手を這わす。左も右も同様に。
普段は太刀を持つ右の手は、綺麗に筋肉がついて、少年らしく一分の無駄もなく
すっきりと美しいのが触れただけで分かる。弓を持つ左手も、しっかりと発達して
いるのに、その曲線はむしろなよやかで、佐為を誘うように薄い皮膚の下で火照って
いるのだ。
そして、足。健やかに伸びた足は、佐為を迎え入れるために、少し開かれている。
馬に乗ったときに体を支えるためにはふくらはぎの力が大分必要なはずなのに、
ヒカルのそこは不思議な程に柔らかい。そういう筋肉の付き方をする体質なのかも
知れない。足首は昔と変わらず細く、太ももの内側は、もいだばかりの桃の内側を見る
ように白く瑞々しい。
そして、その内ももの間のほの暗い場所で、佐為の為だけにほころぶ秘密の花。
そこはまさに今、佐為を受け入れ、悦び、灼熱に燃えて情愛を貪っている。
佐為は、少し汗の匂いのするヒカルのうなじの生え際を柔らかく銜えた。
ヒカルの声が上ずる。
長い黒髪が、流れるようにそのヒカルの背を伝って落ち、床に流水文様を作った。
快楽に体を支えることが辛くなったのか、カクリと肘を崩し、ヒカルは力が抜けて
しまったようにその流水文様の上に上体を落とした。
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