金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 10
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「ねーねーこれ伊角さんの〜?」
「!?ち、違う!門脇さんのだ!」
力一杯否定した。
「ふーん…そーなんだ…」
そうすると、ヒカルは急に興味をなくしたように伊角から離れると、今度は門脇の方へにじり寄った。
「ねーねー門脇さんって、ヘンタイ?」
なんと言うことを言うのだ!この酔っぱらい!伊角がヒカルの口を塞ごうとしたが、門脇は
笑ってヒカルの両頬を軽くつねった。
「イテ!いひゃいよ…かろわきしゃん…」
「これは宴会グッズだよ。前の会社の同僚に貸してたのを、今日、返してもらったの。」
門脇が手を離すと、ヒカルは頬をさすりながら、鞄の中を覗き込んだ。
「ふ〜ん…こっちは何?」
「これか?これはバニーガールだな…こっちはチャイナドレス…」
興味津々なヒカルの前に、門脇は鞄の中身を広げた。ちょんまげカツラや町娘のカツラ、
宴会部長と書かれたたすきなども出てきた。
「サイズ大きいね…」
「こういう物は男に着せて笑いをとるもんだからな…でも、このセーラー服は女物だな…」
「これは女の人が着るの?」
「シャレでな。」
「ふーん」と、ヒカルは暫くそれを見ていたが、おもむろにセーラー服を手に取ると
自分の胸に当てて、
「ねーねーこれ、似合う?」
と、トロンと目元を染めた笑顔のままで訊ねた。
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