しじま 10


(10)
進藤が顔を近づけてくる。
待っているんだ、ボクが動き出すのを。
ボクはあらためて進藤を見た。そして思った。
キスはおろか、その寝巻きのボタンさえ外せる気がしない、と。
今までボクはどうやって、きみに触れていたんだろう。思い出せない。
「……したくないのか?」
そんなことはない。けどボクは否定することができなかった。
身体が言うことをきかないんだ。
「オレ、なにかおまえをイヤにさせることしたか? ……そりゃ、たくさんしてきたけど、
だからってこんなときに、こんな態度とることないだろっ」
「ちがう! そんなんじゃない! ただ、ボクは……っ」
わけもなくきみに怯んでしまうことを、どうやって伝えたらいいんだ。
ふ、と進藤の頭が下がった。進藤がボクのズボンに手を突っ込んで……!!
「進藤!」
ボクの叫びなど無視して、進藤はボクのそれに口づけて、それから吸い付いた。
ちゅっちゅっ、と音がひびく。
だんだんその音が大きくなる。すると進藤の戸惑いも合わせて大きくなる。
進藤だけじゃない。ボクの焦りも大きくなる。
大きくならないのは、ボクの股間のものだけだ。
なよなよと軟らかく、いっこうに勃起する兆候を見せないそれから、進藤は離れた。
その目に怒りが宿っているのがすぐにわかった。
「そんっなにオレがイヤなのかよ!」
「そんなことはない! ただなんでか勃たないんだ!」
「なんでか、ってそんなはずねぇだろっ! おまえ、いっつもオレがイヤだって言っても、
おっ勃ててるじゃないか!!」
「なんて下品な言い方をするんだ、進藤!」
「うるさいっ。もう帰るっ」
ボクを撃沈させる一言を進藤は言い放った。
嫌だ、帰すものか!
立ち上がろうとする進藤を、ボクはとっさに引き倒した。



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