魔境初?トーマスが報われている小説(タイトル無し) 10
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性器を握っていた手をそっと開いて、和谷の指が奥へ奥へと進んでいく。
一度達した名残でぼんやりしていた俺は、後孔のふちに指が掛かった瞬間にやっと気がついた。
じっとりと、嫌な汗がにじみ出てくるような気がする。
「なぁ……。和谷って、やっぱり俺に挿れたいの?」
「嫌か?」
「嫌、じゃないけど…怖い。痛いのは嫌」
「進藤が俺に挿れてもいいぜ。確かにお前の中に入りたいけど、駄目ならそれでもいい」
そんな簡単に。
そんなあっさり言っていいのかよ。
凄い痛いらしいんだよ? 明日起きられなくなるかもしれないよ? 男のプライドだって傷つくかもしれないんだよ?
だけど和谷は覆い被さっていた身体を起こすと、ベッドの上に座りなおした。そして、俺も起き上がらせる。
目線を合わせて、それから微笑んだ。俺がたぶん一番好きな、和谷の表情。
「進藤が決めていいよ。だけどどっちかにしてくれよ。俺、お前と繋がりたいから」
なんでそんなこと言うんだよ。
なんでそんな顔で言うんだよ。
そんなふうにされたら、俺。俺のほうが、和谷への想いが足りないみたいじゃん。
「……いいよ」
「えっ?」
「だから、和谷が挿れていいって! だけどなるべく痛くないようにしてな」
「努力してみます」
けっきょく、さ。
俺だって和谷の喜ぶところをみたいんだ。和谷が俺の身体で感じてくれるのが嬉しいんだ。
そして、和谷とひとつになってみたいんだ。
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