初めての体験 Aside 番外・ホワイトデー さらにおまけ
(10)
さらにおまけ
その翌日、再び荷物が届いた。今度の送り主は…………。
「…………塔矢…」
社は、今回は悩むことなく開けた。
「そうそう、ビビってたまるかい!」
今回はお守りがある。ヒカルの写真だ。
中身は、封筒と小さな箱、昨日のヒカルと同じだ。まずは、封筒を開ける。中身は写真だ。
「ま、まさか塔矢の写真とちゃうやろな………」
震える指で恐る恐る取りだした。
「あぁ!こ、これは……!」
ヒカルの写真だった。信じられない。何かのワナだろうか………。
ワナでもイイ!ヒカルの写真が欲しい。
「ありがたくもろとこ………」
写真を穴が空くほど眺めた。ケーキを食べるヒカル。お茶を飲むヒカル。そして、クッキーを
頬張るヒカル。
「ン…このクッキーもしかして……」
間違いない。ホワイトデーに社がアキラに嫌々送ったお返しだ。社の送ったクッキーを
あたかも自分のもののようにヒカルに振る舞ったのか………。
「ふん……進藤の口に入るンは計算済みや…」
そのためにヒカルの好みそうなものを送ったのだ。
「美味しそうに食べとる………よかった…」
(11)
それより、問題はこっちの箱だ。爆弾でも入っていたらどうしよう………。
意を決して、「儘よ」とばかりに箱を開く。
「なんやコレ?」
社は、絶句した。中に入っていたのは、手作りのチョコレートケーキ。まさか、コレは……
アキラの手作り?社は、同封されていたカードを取り出した。
『ボクの手作り(強調)ケーキです。絶対(ここ極太)に食べてください。』
社の手から、カードが滑り落ちる。もしかして、ヒカルの食べているケーキは……。
ヒカルとお揃いと思えば食べられないこともない………ないけれど………!!
コレを食べたらどないなるんや………いや、食べへんかったらどうなるんやろ………
ある意味爆弾よりもタチの悪いものが入っていた。幸せ気分も粉々に吹っ飛んだ。
禍福は糾える縄のごとし…………初めてその言葉を理解した社清春、高校一年。
春はまだ遠い。
おわり
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