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(10)
―――――塔矢も……、俺のこと好きになってよ

馬鹿だなぁ……、進藤。そんなに簡単に手の内曝していいのか?
嫌になる。
勝算があるから、言葉にしたんだろう?
その自信はどこからくるんだ? 相変わらず失礼な奴だよ、君は。
舌が差し込まれた。
これまでになく、深くまで差し込まれたそれに、おずおずと舌で触れた。
「………ふ…ぅ…」
息苦しくて、呼吸が乱れる。
無意識に逃げる僕を、進藤は両手で捕まえた。両の頬に進藤の掌が。
それは、庭園で感じたものと違い、さらりと乾いていた。
激しいキスに、僕の意識は半ば朦朧としてきた。
ぴたりと重ねあった唇。絡ませた舌が、進藤の唾液を送ってくる。
僕はそれを音をたてて嚥下した。
甘く感じられたのは、つまらない錯覚だろうか。
進藤がようやく唇を離す。唇を離す瞬間、下唇をそっと吸われた。
息を荒げて進藤を見上げると、進藤は僕の髪を優しく撫でてくれた。
「そんな目で見るな。」
僕は、進藤のその一言が可笑しく思えて、思わず笑ってしまった。
「そうやって、煽るなよ……」
嬉しくなる。
僕だけが煽られているんじゃない。進藤も、僕に煽られているんだ。
「俺が抱くよ。優しくはできないと思う。覚悟して」
耳朶を甘噛みしながら、こんな勝手なことを言う。
自分勝手で我侭でいつまでたっても大人になりきれない……進藤ヒカル。
僕は、なぜ………彼だけを求めてしまうのだろう。


(11)
耳から首筋に沿って唇が滑る。
熱い舌が残す濡れた冷たい感触に、僕は身体を捩っていた。
唇葉ほどなく胸に辿りつき、左の乳首を啄ばんだ。
舌で転がされたとき、僕は全身を震わせていた。
「感じる?」
進藤の無神経な問いを、僕は無視することにした。
答えなんていらないのだ。無視する僕をさらに無視して、進藤の唇は悪戯を続ける。熱い舌は左右の乳首を交互に舐め上げると、刺激に固く立ちあがったそれを今度は舌先で押しつぶす。
執拗に胸を舐められて、きつく吸われる。
ぞくぞくとした感触が、腰の辺りにわだかまる。
そのうち、全身の血が下肢の中心に集まって行く。
「…くっ……」
無意識のうちに唇を噛み締めていたようで、進藤がそっと口付けてきた。
「そんなに噛んだら唇が切れるよ」
柔らかく笑いながら進藤が僕の目の前に指を持ってくる。その指で、僕の唇を軽く撫でる。
「噛むならこれ噛んで」
どうして僕が、同じ碁打ちの指を噛めるだろう。
抗議のために開いた唇に、するりと進藤の指が忍び込んできた。
僕は不躾な侵入物に、そっと舌を絡めていた。
噛むなんてできるはずがない。それならと始めた行為だったけれど、僕はすぐそれに夢中になった。
灯りのない室内に、ぴちゃりぴちゃりと猫がミルクを飲むような音が響く。
その音がまた、僕を煽っていく。
進藤が、僕の耳元で、くすくすと笑った。
「くすぐったい・……、それにいやらしい………」
そんな言葉を僕の耳に残して、進藤は僕の視界から消えていった。
臍の辺りに触れた柔らかい感触が、進藤の髪だと気づいたとき、僕の生暖かいものにすっぽりと覆われていた。
いつのまに、足を大きく開かれていたのだろう。
進藤は片方の手を僕の唇に与え、もう片方の手で、僕の陰嚢をやわやわと揉んでいた。
それまでの行為で半ば屹立していたものが、直接的な刺激に素直に反応する。


(12)
進藤の口内で、固く勃起する僕の性器。
進藤が、雁に舌を這わせた。
僕の腰が、その甘い刺激に大きく跳ねた。
僕は思わず、歯を食い縛っていた。とんでもないところで、進藤が(イテッ)とうめく。
僕は慌てて力を抜くと、改めて進藤の指に意識を集めた。
進藤の自由なほうの指が、僕の下肢をまさぐる。
内股を撫でさすったかと思うと、臍の窪みに指を突っ込み、次には腰骨を指先で辿る。
その様々な刺激に僕の体は、正直な反応を返していた。
自分で弄ることすら稀なのに、いきなりのオーラルセックスは、僕を困惑の淵に突き落とす。
進藤が、大きく顔を上下する。それが僕にくれるたまらない快感。
近づいてくる絶頂に、僕は泣きたくなってくる。
このままでは、進藤の口に出してしまう。
「し……進……しんどっ……、で……る。離し・………は……」
進藤の指のせいでうまく喋れない。
そこで、気がつく。
進藤の頭の動きと、指の動きがシンクロしていることに。
自分がなにをやっているか、僕はようやく気がついた。
かっと全身に羞恥が走った。それが静まると、次に襲うのは、初めて感じる劣情。
僕も進藤を愛撫しているという事実。
咥えているものは指だけど、指じゃない。進藤がいやらしいといった意味が今ならわかる。
もう、なにも考えられない。
いい。気持ちがいい。行為に夢中になる。
固く目を瞑り、進藤の指を唇で締め上げる。と、同じに僕の脊髄に甘い電流が走った。
堪えに堪えていたものが、一気に迸る。
進藤の喉奥で、僕は欲望を解き放つ。
そのあまりの快楽に、僕は思わず声をあげていた。
「ああっ………!」
快感に、僕の全身が小刻みに震えた。
自分でする時とはまったく違う、信じられない快感。
僕はすべての思考を手放した。



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