日記 10 - 12
(10)
朝、目が覚めたときオレは泣いていた。
アイツの夢を見たせいだ。
今までだって、触れることができなかったのに
夢の中でもさわれなかった。けちだよな。
にこにこと、いつもの笑顔をオレに向けるだけで、
なあんにも、しゃべってくれなかった。
一緒にいるときは、ホントうるさいくらいだったのにさ。
やっぱりアイツはもういないんだ。
オレの未練がこんな夢を見せるんだ。
夢でもいいからっていつも思うけど……
やっぱ夢じゃ切ないよ。
人肌が恋しい。
塔矢がいればこんな夢見なかった。
早く帰って来いよ。
(11)
オレ、今すごく動揺している。
どうしたらいいのかわからない。
和谷のところの勉強会に、昨日行った。
塔矢がいなくて寂しかったし、
みんなでわいわいやると気分も晴れると思ったから……
夜遅くなって、そのまま、みんなで部屋で雑魚寝したんだけど、
何か息苦しくて、目が覚めた。
誰かがオレの上に覆い被さっていた。
びっくりした。顔は見えなかった。
だんだん、顔が近づいて来て、オレ思い切り目をつぶって寝たふりした。
でも、起きてるのバレてたと思う。
キスされている間、ずっと身体が震えていたから。
相手は、すぐにオレの上からどいたけど。
オレ、その後ずうっと眠れなかった。
朝、お日様が昇ると、寝てるみんなをそのままにして、
すぐに部屋から逃げた。
だって、怖かったんだよ。誰だかわかんなかったし…。
塔矢に会いたいよ。
(12)
今日、塔矢が帰ってきた。
今日帰るのわかっていたから、塔矢のアパートで待つことにしたんだ。
塔矢はすごく喜んでくれた。
塔矢がうれしそうなので、オレもうれしかった。
疲れているのはわかっていたから、顔だけ見てすぐに帰った。
塔矢は、あからさまに(あからさまって何か難しくてかっこいいな)
がっかりしていたけどな。
オレは、塔矢の顔を見て元気になったので、この前のことは忘れることにした。
塔矢にも言う必要ないよな?
きっと、ちょっと試してみたかったんだよ。
オレ、あの中で一番下だし、女の子みたいな顔だってよくからかわれるし。
きっと、そうだよ。
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