粒くらべ 10 - 12


(10)
ヒカルは抗議の眼差しでアキラを睨むが、アキラはそれでも優しい笑顔を浮かべ、
膝を抱えるヒカルの両手をそっとそこから外させ、両足首を掴んで左右に開かせた。
その中央にあるヒカルの分身にうす緑のグロテスクな物体がぴたりと押し当てられた。
「ヤだってば…塔矢ア…」
ほとんど涙声でヒカルはアキラに訴えたが、さわさわとアキラにまだ今熱を吐いたばかりで
熱っぽく喘いでいるヒカル自身をうす緑の物体でざわりと触れられる度に、ヒカルの体の
奥深くが疼いた。
ヒカルの肉体自身がそれを拒否し切れず、アキラにその事を見抜かれていた。
「大丈夫…少し入れてみて、本当に進藤が嫌だと思ったら直ぐに止めるから」
「…絶対に…?」
アキラはこくりと頷いた。今までの経験で下手に突っぱねると彼を怒らせてしまい
かえって酷い事をされるハメになるのをヒカルは怖れた。
「じゃ、じゃあ…先っぽだけ…それ以上は絶対ダメだからな」
「わかったよ。もっとここ…開いて…」
アキラは更にヒカルの両膝を開かせて胸に突かせる程体を折ると、粒ツブに被われた先端を
ヒカルの中央に宛てがった。
「見た目よりも、この粒ツブは柔らかいんだよ。傷はつかないから、進藤、力を抜いて…」


(11)
自分で試したのかよ、と心の中でアキラに突っ込みながらもヒカルは全身を緊張させてそれを
受け入れた。
ゆっくりと慎重にアキラがそこに体重をかけてきて、ざわざわとした異物がヒカルの粘膜を
押し広げる感覚が増した。
「う…あ…」
神経が集まった入り口付近の粘膜一つ一つに小さな突起が食い込んでくるような
大きな触感にヒカルはビクビクと身を震わせた。
思わず侵入を拒もうとその部分を閉じようとすると繊細な粘膜に粒ツブが一斉に食い込み、
それから逃れようと力を抜くと容赦なく侵入が続行される。
「あ…ひっ、…あ…んっ…」
「凄いよ、進藤のここがボクを食べているみたいだ…」
感心するようにその様子を観察しながらアキラもかなり興奮の度合いを強めているようだった。
アキラが言っていた通り、トゲトゲしいものというよりは、見た目よりイソギンチャクのような
ソフトな触手が潜り込んでくるような奇妙な感じだった。
それでも例えようもない異物感にヒカルは自分の体が変になりそうだった。
「と、塔…矢…、まだ…っ?」
「まだ全然入っていないよ、進藤」


(12)
そう言いながらアキラの動きはそこで止まってしまった。
進みもせず、戻りもしないで敏感な箇所で留まられて、ヒカルは半分怒るようにアキラを
睨んだ。それでも呼吸するだけでも嫌でも粘膜に食い込んだ小さな突起がヒカルに淡い
電流を与えて来る。
ふいにアキラがその場所で自分の腰を揺らした。
「くあっ…」
中で無数の触手がざわめいてヒカルは脚を閉じようとしたが、すぐにアキラに元通りに
大きく開かされた。触手が触れているところよりもう少し奥のところがジンジンと疼いていた。
もう少し、あと少し、欲しい――とヒカルの内部が要求する。
「ここで止めて欲しいの?本当に…?」
意地の悪いアキラの問いかけにヒカルは更に怒ったような目付きで睨み返した。
それでも徹底的に不利な立場には違いなかった。
「どうして欲しい?」
再度の問いかけにヒカルは唇を噛んだ。こいつはこうやっていつもオレの反応を楽しんでいる。
この妙なコンドームだって、そういう執念で探してきたんだろう――いつだってこいつは――
「…い…で」
「よく聞こえない。もう一度はっきり教えてくれ」



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