初めての体験 101


(101)
 一目惚れというものがこの世に存在することを初めて知った―――――――
 社は目の前で、上目遣いに自分を見つめる少年に、恋をしてしまった。彼は、可憐な外見とは、
裏腹に恐ろしく碁が強かった。

 自分の対局が終わったとき、次の自分の対戦相手を確認しようとして、まず、その盤面を
見て驚いた。そして、次に彼の姿を見て、何とも言えない衝撃を胸に受けた。目を離すことが
できなかった。
 どうにかして、自分を彼に認めさせたかった。最初に打った手は、彼の興味を引いたらしい。
つかみはオッケーだ。社は心の中で、ガッツポーズを作った。
 だが、ヒカルもただ者ではなかった。社の手に対して彼が放った一手に、社の方が
心を鷲掴みにされてしまった。
『はあ〜やっぱ、可愛いだけじゃないんや〜わかっとるな〜』
絶対、お近づきになりたい。必ず勝って、こっちを向かせてみせる。社の心の中に闘志が湧いた。
――――北斗杯の代表と進藤ヒカルどちらも手に入れたる!



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