初詣妄想 11
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それからたっぷり1時間以上かかって、やっと俺達は本殿に辿り着いた。
アキラたんは意外にも明治神宮は初めてとかで、門の大きさやら作りやらに
いちいちはしゃいでいて、その様子が本当に可愛すぎて鼻血も出そうだ。
俺は予定通り、アキラたんの健康と、アキラたんの幸せと、あとは俺達の
愛情溢れる円満な関係が続くことを祈って、随分長い時間かかったと思うのだが
隣のアキラたんも変わらないほど長かった。何を祈ったのか、聞いても
にこにこしているだけで、俺には絶対教えてくれなかった。
だけど、考えてみれば、俺だってアキラたんに聞かれても
何を祈ったかは絶対教えないと思う。だからおあいこかな。
俺達は二人でおみくじを引いて、二人で同じお守りを買ってから、
人の流れに乗っかって出口へと向かった。ここもやっぱり人でいっぱいで、
アキラたんはしっかりと俺の手を握り、俺もしっかりと握り返した。
「アキラたん、次はうちに来てくれるんだよね?」
「――うん!」
心なしか、子供っぽいような返事に俺は少し戸惑いつつも、
そんなアキラたんを独占できる喜びが心に染みる。
家までの距離が本当にもどかしくて、だけどアキラたんと一緒に街を歩いて、
しかも俺の家へ向かっている事実が嬉しくてたまらなかった。
<終わり>
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