平安幻想秘聞録・第四章 11


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 やけに積極的な奈瀬に、オレの知ってる奈瀬とはちょっと違うなーと
ヒカルは頭を掻いた。そういえば、あかりも何だかおとなしい。ヒカル
の幼馴染みのあかりなら、もっと口を挟んでるところだ。
 変わらないのは佐為くらいかなぁ。賀茂も塔矢と違って、沈着冷静っ
て感じだしな。少なくとも、ヒカルの態度に腹を立て、ふざけるなっ!
と声を荒げることはない。だが、今はそれを聞いてみたい気分だ。少し、
ホームシックになっているのかも知れない。
 それに、何であの人、オレのことを気に入ったんだろうな。
 近衛光は東宮とはまったく面識がなかったらしい。とすれば、やはり
気に入られたのは自分ということになる。もっとも、近衛本人に確認し
てみなければ本当のところは分からないが。
 海王の大将、岸本さん・・・。
 三谷は嫌ってるらしいが、ヒカルはそうでもない。アキラを追いかけ
るためにはのんびりしている暇はないと教えてくれた。あのとき書店で
彼と出会わなければ、アキラがプロになったことを知るのはもっと後に
なったはずだし、院生になろうと思いもしなかったはずだ。例え、プロ
になれたとしても、そのときはアキラはもっと先に進んでいたはずだ。
 それに、何より一番最初に佐為ではなく、ヒカル自身の実力を認めて
くれた人だ。三谷ですら敵わなかった「海王の大将にホメられたっ!」
という喜びはそのままヒカルの自信にもなった。
 それ以来、彼とは顔も合わせていない。この時代でこんな形で出会う
ことになるとは思いもしなかった。



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