検討編 11
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とうとうアキラの足がヒカルを蹴り落として、ヒカルは床に転がった。
「………………いってぇ……」
床に打ち付けられた腰を擦りながらヒカルが身体を起こす。
「………ひでぇよ……塔矢ぁ…」
「何だと?ひどいのはキミの方だ。何を考えているんだ、キミは!一体今、何をしようとした!?」
「何って……」
「そんな所にそんなモノ入る訳ないだろう!」
「入るはずなんだけど…」
「入るもんか。女じゃないんだから、」
「大丈夫なはずなんだよ…!」
「何を根拠にそんな事を、」
「だからぁ、そこに挿れるんだよ、男同士の場合は。」
「ウソをつけ!でたらめを言うな!!」
「でたらめじゃねぇよ!ホントだよ!!」
不信感もあらわにヒカルを睨みつけるアキラに、ヒカルは唇を尖らせて言う。
「だからぁ、えー、うん、男の場合はソコに挿れるの。そーゆーもんなの。」
返事もせずに疑いの眼差しを向けたままのアキラに、もう一度念押しのように言ってみる。
「どうしても疑うって言うんなら、賭けてもいいぜ。」
賭けるというのが何を賭けようというのかヒカルの目が雄弁に語っているような気がして、更に自分
はその方面の知識には疎いのだろう事も薄々は自覚していたので、アキラもやっとヒカルの言うこと
が全くのでたらめではないのだろうという事を、不承不承ながらも認めた。
「…どこでそんな知識を仕入れてくるんだ、キミは。」
「えー、それは、まあ、その、色々と…」
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