肉棒だらけの打ち上げ大会 11
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「──伊角さんコレって・・・・・」
伊角が和谷に渡した物は、よっちゃんイカだった。
「よっちゃんイカはウマイぞ」
ニコニコしながら伊角は封を開けて、よっちゃんイカを食べ始めた。
──まさか、よっちゃんイカが出るとは思わなかったな。
こんなペラペラしたモノじゃ腹の足しにもならねえよお。
「ねえ伊角さん、他に別な物はないの?」と、和谷は不満顔で伊角にもう一度
聞いてみた。
「他にか? そうだな、あとは酢昆布があるぞ」(都こんぶを差し出す伊角)
「・・・オレ、よっちゃんイカでいい・・・・・・・・」
──伊角さんって、まだ十代なのにどこかジジイ臭いんだよな・・・・。
仕方なく和谷は、よっちゃんイカをくわえた。
──なんか余計腹がへるうう〜。
やがて次第に空は暗くなり、山奥の静かな温泉街の上に赤い夕陽が照らし
出し、街中にあるスピーカーから夕焼け小焼け≠フメロディが流れる。
「おい和谷、川に夕陽が映ってキレイだぞ」
「あーあ、もう陽が沈んじゃう時間か」
「こういう景色眺めていると、なんかこう無性に叫びたくなるな」
「ハハハ、バカヤローとか?」
冗談だろと思い笑いながら和谷は伊角を見ると、伊角はウットリとした顔で、ジッと夕陽を見つめている。
──うわああ、チョ、超マジだ伊角さんっ!!
夕陽に向かってバカヤロウなんて、今時誰もやらねえよ!
っていうか、思いつきもしねえよ。
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