Shangri-La第2章 11
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緒方が新しいビールを片手にソファに座ると、
アキラはその片膝の上によじ登り、
ふわん、ふわんと頬や唇を緒方に押し付け出した。
そういえば、先生に怒られた後に寝かしつける時は
いつもこんな風にしてきたな…。
余程人肌に飢えていたのだろうか。
しっかりしているとはいえ、やはりまだほんの子供か…。
そんなアキラの頭をそっと撫でてやりながら、沈黙を破った。
「淋しいなら、進藤を呼べばいいじゃないか?良く引き込んでるんだろう?」
アキラは緒方の首筋に顔を埋めて動かなくなった。
「進藤は……今は忙しいんです」
自分の発したその言葉に、ずきん、と痛みが走った気がして
アキラは顔を歪め、緒方にその顔を見られていないことに安堵した。
「あぁ、聞いたよ。拝金主義に毒されたらしいな」
「ち、違います!今、一時的にお金が必要な事情があるだけで…」
「ふぅん…、だったら、お前が金を出せばいいじゃないか」
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