浴衣 11
(11)
進藤の指が僕のあごを捉える。
優しく上向かれ、優しく唇を吸われる。
身体中に小刻みな震えが走った。
「塔矢が凄い碁打ちだってことを知ってるのは、俺の他にもたくさんいるけど、塔矢がこんなに感じやすいなんて知ってるのは、俺だけだ」
「進藤、なに馬鹿なことを……あっ――」
抗議は、最後まで言葉にならなかった。進藤が深く口付けてきた。
甘い刺激に、僕の全身から力が抜けていく。
進藤の膝が浴衣の裾を割り、僕の足の間に入りこんでくる。
「し、…しんどっ……」
進藤の太股が僕の性器に触れた。それだけで、僕は精神的には達していた……と、思う。
「塔矢?」
進藤に瞳を覗き込まれて、僕は二重の意味で真っ赤になっていた。
顔を背ける。いまは見て欲しくない。
君に触れてもらっただけで、こんなにも浅ましく喜んでいる自分を知られたくない。
「どうした?」
「なんでもない……」
「顔、隠すなよ」
隠せるものなら隠したい。
「風呂、はいろう」
消え入りそうな声でそう告げると、進藤の腕が動いた。
僕の内股を、進藤の手が撫で上げる。でも、そんな接触でさえ、僕の身体は反応を見せる。
もう片方の手が、背中で帯を解いている。
するりと、帯が落ちた。喉もとに口付けた進藤は、僕の鎖骨に舌を這わせた。
肌蹴た合わせを進藤は顔で暴いていく。なんて横着なんだ!
でも、その間にも片手と足を使って、進藤は僕の下着を下にずり下げ、もう片手は浴衣の裾を捲り上げ、尻の辺りをまさぐっていた。
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