平安幻想秘聞録・第一章 11
(11)
「目を閉じて、力を抜いて。私に任せて下さい、ね」
一度ヒカルの身体を抱き上げて、膝の上に降ろし、涙を指の腹で拭い
ながら、震えてる小さな唇をそっと塞いだ。
「ん、ふぅ、ん・・・」
驚いて逃げようとしたヒカルを優しく束縛したまま、佐為はヒカルの
小袖を肌けさせて、まだ発達途中の細い身体を空気に曝した。夜目にも
白い肩、くっきりと浮き出た鎖骨、その下の薄い桃色の蕾。順番に指先
で辿る佐為に、ヒカルが嫌悪ではないものを覚えて震え出した。
「ダメだ、佐為、やだ・・・」
「光、何も怖いことなんてありませんよ。光が楽になるようにするだけ
です」
「ん、あぁ!」
佐為の形のいい唇が胸の先端を柔らかく啄んでいく。びりっとした快
感に、ヒカルは背を仰け反らせた。
「光は昔と変わらず、柔らかいですね」
「さ、い・・・」
「ほら、力を抜いて、苦しいのでしょう?」
耳元で囁かれ、あやすように髪を撫でられて、ヒカルはふっと身体の
強ばりを解いた。佐為は嘘を言わない。きっと、言う通りにしていれば、
大丈夫。そんな信頼の念が今でも残っているのか、佐為の流れるような
手の動きに脚を開かされても、もう抗う気持ちはなくなっていた。
「はぁ、ん」
「このままでは、辛いでしょう?」
佐為の掌が触れただけで、更に自分の身体が熱を上げたことが分かる。
ヒカルの気持ちを置き去りにして、肉体だけが情欲を貪りたがってる。
そんな感じだ。そして、それを今自分の目の前にいる貴人の手で施され
るのは、決して嫌ではない。むしろ、その先を願っている。やったこと
もやり方も知らないのに、ヒカルはそう思った。
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