平安幻想異聞録-異聞-<水恋鳥> 11
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下肢は佐為を飲み込んで高く掲げられたまま、奥を付かれるつど、ヒカルは
冷たい床に頬を押し付けて、喘ぎ声を上げる。
船を漕ぐにも似た動きで、ヒカルを揺らしながら、佐為は最後の頂点に押し上げて
やるために、そのヒカルの細い腰に手をやった。それはさすがに本物の女性ほどには
細くはないが、それでも、高い位置で綺麗にくびれて引き絞られ、その腰の奥に、
自分の一部が入り込んでいるのだと思うだけでも体が熱くなる。
ヒカルの下肢をしっかりと固定して、強く揺さぶる。
佐為の律動に会わせて、鋭い悲鳴のような嬌声が立ち始める。
床に上体だけうつぶせるヒカルの手が、何かを求めてさまよっていた。
佐為は腕の伸ばして、そのヒカルの手を取り、指に自分の指をからめてやった。
ヒカルが、喘ぎながら肩越しにこちらとチラリと見て、嬉しそうに笑った。
佐為の背をゾッと何かが走った。
自身の中の荒ぶるものを刺激されて、全身が火照る。
蠱惑的な、まるで、男をかどわかす魔物の笑みだ。
佐為は、少年の肉壁の中に埋められた自身が、益々固く猛々しさを増すのを感じた。
その佐為の変化を敏感に受け止めて、絡められたヒカルの指に強く力が込められる。
喘ぐのに忙しく、口を閉じることのできないせいで唇が乾いたのか、ヒカルが舌で唇を
湿らすのが見えた。
いつもなら、着物なりなんなりを口に含みたがる頃だ。さっきは無理にそれを防いで
ヒカルを困らせてしまったので、その詫びのつもりで、佐為は指を絡めているのとは
反対の方の手の指を、少し自分でなめて湿らすとヒカルの口元に寄せる。
唾液のついた指先でヒカルの唇をたどり、湿らせてやる。それから、そっと人差し指と
中指を二本、口の中に侵入させた。
「噛んでいいですから」
言うと同時に、抽挿の速度を急激に速めた。
ヒカルの上体が激しく揺れて、喘ぐ声も責められる動きに合わせて間隔が短くなる。
指に軽くヒカルの歯が立てられたが、ヒカルは快楽を追う中にもそれが佐為の指だと
意識しているのだろう。あまり強く噛まないように加減してこらえているのがわかる。
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