りぼん 11


(11)
ケーキは予想以上のうまさだった。
「ごちそーさん! あー、おいしかった!」
コップに残ってたオレンジジュースを飲み干した。このジュースもオレがいつも飲んでるの
とぜんぜん味がちがった。
ほんとうに塔矢の用意する食べ物ってどれもこれもゼッピンだよな。
おなかもいっぱいになったし、このまま寝ちゃいたい。
けど塔矢は絶対にそうさせないだろうな。そう思ったら、やっぱりそうだった。
「そろそろプレゼントをもらうよ?」
塔矢がキスをしてきた。
そのまま手馴れた手つきで上着を脱がしていく。
暖房がきいてるから寒くないけど、触れてくる塔矢の指が冷たいから思わず身体が逃げた。
それにそれに! なんか肌がいつもよりもビンカンになってる気がする。
やっぱりお酒のせいなのかな。ちょっとしか飲んでないのに。だいたいオレ、お酒を飲んで
するのってイヤなんだよな。いつもより理性がなくなりやすくなるからさ。
「なあ、風呂に入っちゃダメか?」
少しでも酔いをさましたかった。なのに塔矢はすぐに却下しやがった。
「今すぐ、欲しいんだ。こっちも開けていいよね」
なんて言いながらジーンズのジッパーをおろしていく。
もうあきらめるしかないか。オレも足を動かしたり腰を浮かしたりして協力する。
オレだけすっぱだかにされるのって恥ずかしい。それも今さらだから何も言わないけど。
「進藤、手を出して」
ん? なんだろ、いったい。とりあえず右手をさし出してみる。
「って! おい!?」
塔矢が手首から肩にむかってリボンをくるくるとまいてきた。
見るといろんな色のリボンが塔矢の手元にあった。いつのまに用意したんだ!? 
「なんだよ、これ!! おまえ何する気……あっ」
ふとももの内側を撫でられて、声をあげてしまった。みっともねえ〜!
「キミは今日はボクの誕生日プレゼントなんだから、好きにさせてくれないか」
オマエ、いつも好き勝手してるじゃないか!



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