失楽園 11
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緒方はヒカルをバスルームまでは案内したが、その後はどこかへ消えてしまっていた。ヒカルはバス
ローブの袖をブラブラさせたまま、緒方の姿を探す。
「おがたせんせえ〜」
リビングとキッチンを覗き込みながら素通りし、廊下をペタペタと歩いていく。
下着を洗濯されてしまい何も身に付けていないため、歩くたびに微妙な部分が布地に擦れる。ヒカルは
極力そこを意識しないように気をつけながら緒方を探した。
「どこ行ったんだよ、緒方先生」
ヒカルは唇を尖らせて次の部屋のドアを開ける。自分を放って外出されていても困るのだ。ヒカルは
家で洗濯をしたことがなく、乾燥機の使い方もさっぱり判らない。どうにかして服を乾かしたとしても、
制服のズボンはヨレヨレだろうし、何より緒方に無断で帰るのも気が引けた。
「あっ」
何回目かのハズレ――緒方のマンションには収納がたくさんあった――のあと、ヒカルは足を速めた。
シャワーを浴びる前には閉じていたドアが現在は開いている。
「ねぇねぇ緒方先生、見てくれよこれ〜!」
ヒカルは笑いながら開かれたドアの前で仁王立ちになった。緒方のバスローブがいかに自分に似合わない
か、笑いながら両手を胸の前でブラブラさせる。
緒方は無言だった。そして、その横にアキラの姿を認め、ヒカルは慌ててはだけたバスローブの襟を正し
た。アキラがあの日何度も舐め、吸い付いた胸だ。それをその相手に曝すことに激しい羞恥を感じたのだ。
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