魔境初?トーマスが報われている小説(タイトル無し) 11
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和谷が俺の後孔のまわりをゆっくりとなぞる。手探りで、見当をつけてるらしかった。
微妙に位置を変えつつ指先で突っつくから、俺はそのたびにいちいち反応してしまう。
こんなんだったらひと思いにやって欲しいって思った瞬間に、和谷の人差し指がついに入り口を捉えた。
「ここ、だよな……」
小さな呟きは俺に確認を求めてるんじゃなくて、無意識に出たものだろう。
和谷の指が入ってくるんだと、身構えた。なのに和谷は身体を離して、ベッドの傍に投げ出されていた鞄を探っている。
「……なに?」
「手際悪くてごめんな。忘れそうだった」
鞄の中から出てきた手に握られていたのは小さなチューブと、それから。
「あの、わかってると思うけど。俺、男だから着けなくても大丈夫だよ?」
チューブの中身は不明だけど、もうひとつの小さな四角いパッケージは俺も見たことがある。
使ったことはないけど、中学の保健体育の授業で男子だけに教えられた。
避妊具、いわゆるコンドームってヤツ。
「ばぁか、違うよ。着けないと後からお前、腹壊すかもしれねぇぞ?」
「え、そうなの?」
「直腸に入るはずない精液が入るわけだからな。上手く掻き出す自信もないし。あと、着けてるほうが挿れるの楽だって」
コンドームとか直腸とか精液とか。
聞いているだけでクラクラするほど恥ずかしいんだけど、和谷のほうは真剣で。
だから俺も真面目に和谷が自分のモノにゴムを被せるのを見ていた。
ゴムは薄く破れそうなほど伸びきっている。……やっぱり大きいよ、和谷。
あれが、俺のなかに挿れられちゃうのか。
そう考えたら怖いんだけど、でももし小さくて貧弱だったとしたら、ちょっとがっかりしたかもしれなくて。
ああもう、なに考えてんだろ。
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