金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 11 - 12
(11)
「はぁ?」
門脇は絶句した。似合うかと否かと訊かれれば、「似合う!!」以外の答えはないだろう。
しかし………
門脇がどう答えようかと逡巡していると、横から割り込む奴がいた。
「お〜似合う!似合う!」
ヒカルと同じくらい顔を赤く染めた和谷がケラケラ笑って、大きく手を叩いた。
「んじゃあ〜オレはコレ〜」
和谷はバニーガールの耳を頭にかぶって、ヒカルに見せた。
「和谷〜かわいい〜」
二人で勝手に盛り上がるヒカルと和谷。 それを呆れて見守る三人、一人静かにだが着実に
空き缶を増やしていく越智。
「止めなくていいのかな?」
「酔っているヤツに何言ってもムダだと思う…」
「害はないみたいだからいいんじゃないかな…」
その時、背後で派手な音を立てて、何かが倒れた。
空き缶に埋もれて、越智が潰れていた。
「あ!おい…越智大丈夫か?」
突然倒れた越智に慌てて伊角が駆け寄った。
「急性アルコール中毒かな?」
「違うだろ…とりあえず、濡れタオル持ってくる。」
ヒカル達のことより、越智の介抱の方が先決である。三人はあわただしく、動き始めた。
(12)
そんな騒ぎは何処吹く風と、ヒカルと和谷は相変わらずケラケラと笑っていた。ヒカルは
セーラー服を前に暫く考え込んでいたが、唐突に、
「オレ、着てみちゃおうかな?」
と、少しはにかむように言った。
「お〜着ろ着ろ!」
和谷も無責任に煽る。
「オマエ、絶対に似合う!身体も小さいし、顔も女みたいだし…うん、着てみろよ!」
「うん!」
ヒカルはTシャツの裾に手をかけると一気に捲り上げた。突然目の前に現れた白い肌と
薄い胸の上に乗っているピンクの突起に、和谷は赤い顔をますます赤くして、目を逸らした。
「オマエ…恥らいってもんはないのかよ〜」
「和谷を相手に何を恥じらうって言うんだよ……」
「それはそうだけどさ……」
「見たくないなら、後ろ向いてよ。」
「情緒ってモンが足りネエよな」とブツブツ言いながら、和谷は素直に後ろを向いた。
暫くしてヒカルが声をかけた。
「いいよ。」
その声に和谷は振り返った。と、同時にヒカルがくるんと回った。スカートがふわりと舞い上がる。
「ジャーン!どう、似合う?」
「スゲー似合う…でもさ…」
と、和谷はちょっと言いにくそうに口籠もる。
「なんだよ?」
「トランクス………」
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