初めての体験 Asid 11 - 12


(11)
 「なんだ〜いるんじゃないか〜。」
「すみません。ちょっと、うとうとしてて…」
のんびりと文句を言う芦原さんに、ボクは適当ないいわけをした。そして、部屋の中に、
芦原さんを招き入れながら、ボクは、彼の全身をさりげなく眺めた。進藤の身代わりに
するには、少々、薹が立っているが、まあ、何とかいけるんじゃないだろうか?
 現実は想像力でカバーするとして、問題は、どうやって縛り上げるかだ……。アレは、
相手、もしくは第三者の協力があってこそ、できる技ではないだろうか?芦原さんは、
ボクよりも身長も高いし、力も強そうだ。…やはり、身体の自由を奪うしかないだろう……。
昔は、目薬を飲み物に混ぜるとイイとか言っていたが、最近では成分が変わっているらしいし…。
ネットで手に入れた妖しげな薬を使うか…まだ、自分で試していないモノを芦原さんに
使うのは気が引けるが…今日、ここに来てしまった自分の不運を嘆いてください。
 ボクはとりあえず薬類は、自分で試してから使おうと思っていた。でないと、どんな効果が
あるのかよくわからないからだ。既に、幾つか試してみた。いい気持ちになるモノもあれば、
最悪なモノもあった。今日使うモノは、どんな風になるのだろう…ちょっと楽しみだ。
「何だよ、アキラ?ニヤニヤして…」
「ううん、別に…」
これから起こるであろうことへの期待で、ボクの胸は高鳴った。


(12)
 ボクは、濃いめのコーヒーを入れ、その中に砕いた錠剤を落とした。ワクワクする。
ごめんね。芦原さん。
 にっこり笑って、カップを差し出した。
「うっ!苦いな…」
芦原さんは顔を蹙めた。
「ごめん。水の加減間違えたみたいで…」
如何にも申し訳なさそうに言う。ホントは、口先だけなんだけどね。
 芦原さんは、「いいよ、いいよ」と笑顔で答える。うぅ…胸が痛い。こんなボクにも、
一応、良心らしきモノはあるらしい。でも、やめようと思わないところが、ボクのボク
たる所以だなあ…。
 芦原さんはボクに気を使ってか、苦いコーヒーを残さずに全部飲み干した。よしっ!
ガッツポーズは心の中で!後は、薬が効いてくるのを待つのみだ。
 ボクは芦原さんに対局を持ちかけて、その間、効果が現れるのを待つことにした。

 碁を打っている途中で、芦原さんの身体が大きく揺れた。
「あれ…?」
「大丈夫ですか?芦原さん…」
畳の上に手をついて、身体を支える芦原さんに白々しく声をかけた。芦原さんの息は荒く、
苦しそうに胸を押さえている。これは…マズイ…かな…?背中をさすりながら、芦原さんの
様子を観察した。
 俯いている芦原さんの顔を覗き込むと、頬は赤らみ、目が潤んでいた。口は半開きで、
そこから切なげな吐息が漏れていた。よし!いける!ボクは、芦原さんを横たえると、
シャツのボタンを一つずつ外していった。
「アキラ…?」
「苦しいんでしょう?服を緩めた方がいいですよ。」
ボクの言葉に、芦原さんは素直に頷いた。ズボンのベルトに手を掛けたときでさえも、
逆らわずにじっとしていた。



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